2005年01月10日

Stefanie by 孫燕姿 (Sun Yan Zi)

Stefanie

ここをお読みの方ならご承知の通り、私は洋楽についてはそれなりに聴き込んでいるわけだが、日本を含め、英語圏以外の音楽には疎い。別に興味がないわけではないが、すべて追いかけるには時間も金も足りないので、いちばん興味のある分野だけを追うことにしていた。
この1年半ほどで何度アジアに渡航したかわからないが、なぜか今回シンガポールに渡って初めて「現地モノ」を買おうという気になった。たぶん、何度もアジアの文化に触れるうちに、アジアの音楽に対する「俺が聴くものではない」感が薄れた結果なのだろう。
とは言え誰がスターなのか、何が売れてるのかさっぱりわからない。ただ、まったくの素人でもないので、CDショップのどこを見ればそれがわかるかぐらいは知っている。ということでシンガポールのタワレコで仕入れてきたのがこれ。
台湾を拠点に活動しているようだが、シンガポール出身の孫燕姿Sun Yan-Zi。78年生まれ、大学を卒業して2000年にデビューだがもうベスト盤を含めて8枚もアルバムを出している。このハイペースはさすがアジアだ。台湾を筆頭にアジア諸国では何十万枚もCDを売って1位とりまくりらしい。が、日本発売はされていないらしい。おお、こりゃちょうどいい物を買ったな。

で、後から知った更に嬉しいことは、この子、今回私がシンガポールに行った際に現地で大変お世話になったNanyang Technological University(ナンヤン工科大学/中国表記だと南洋理工大学?)の出身らしいのだ。これで一気に親近感倍増。
音的にはおとなしめのシンガーソングライター系ポップスだが、とても洗練されていて、私が日頃聴いている欧米の音楽と比べて違和感は全然ない。むしろこのアコースティックな透明感は、北欧系あたりに通じるものさえ感じる。本人が何曲か作曲しているのも含めて曲のクオリティは安定している。北京語は人々が普通に話しているのを聴くとけっこう“強い”言葉に聴こえるが、こんなに柔らかく聴こえるのか、というぐらいソフトなのもいい意味で意外だった。歌詞カード見てるとなーんとなく意味がわかるしね。
と、色々発見の多かったCD。これを機に私もアジアンポップス進出か?

日本の孫燕姿ファンサイト
もういっこ
この辺で買うのが現実的か?(日本語の中国CD通販ショップ)
amazon.co.jp, hmv.co.jpではSun Yan Zi, Stefanie Sun, Yan Zi等で検索してもヒットせず。towerrecords.co.jpではYan-Ziでヒット。しかし高い!いったいこりゃ現地価格の何倍だ。やっぱり上の中国CD専門店とかで買うほうが良さそう。
posted by しんかい at 03:49| 東京 ☀| Comment(41) | TrackBack(7) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月23日

Loyal To The Game by 2Pac

Loyal To The Game

恒例のトゥパック未発表曲集。また1位になった。
なんとなくわかってはいたけど、凄い事実。彼はこれまでにアメリカで2440万枚あまりのアルバムを売ってきているが、そのうち彼が存命中に売ったのは600万あまりで、残る1800万あまりは、96年の彼の死後に売れている、のだそうだ。才能もカリスマ性も圧倒的な人ではあるが、その“伝説”が一人歩きしている人でもある。

今回は何と言ってもエミネムがほぼ全編をプロデュースしているのが話題。こないだの「Runnin'」を手がけたのがきっかけになっているのだろうが、私は個人的にはエミネムの音楽的才能の薄っぺらさを実感しただけの作品だった。
とにかくワンパターンな曲ばかり。どんくさいテンポのダークな曲に、キーボードなどの柔らかい感じの音をアクセントに乗せる、というD-12〜エミネムのソロでさんざん聴かされてきた同じパターンを、ここでも延々と聴かされる。もちろんエミネムもG-ユニットもオービー・トライスもゲスト参加。ここでもう一歩頑張ってドクター・ドレを引っぱり出してくれば面白かったが、そこまで踏み込めるはずもなく。

そりゃまあ、もしトゥパックが今も生きてればエミネムと共演してたかもしれないし、こういう作品を出していたかもしれない。しかし、この二人は全然キャラが違うと思うのだ。Me Against The World的な姿勢は、一見確かに共通するようにも見えるが、基本的にエミネムは“茶化す”のが得意な人で、ロマンチストでもあり、何でも本気で、全力でぶつかってしまう真面目な人であるトゥパックとは似合う音が違う。シリアス風でありつつどこかファニーな雰囲気もある最近のドクター・ドレ〜エミネムの作る音と、トゥパックのライムの相性がいいとは思えないのだ。

やっぱり我々はいつまでも「Life Goes On」や「Unconditional Love」や「It Ain't Easy」のような曲が入っているかもしれないと淡く期待しつつ、永遠に彼の未発表曲集を買い続け、その度に落胆し続けるのだろう。だからこそ、彼の存命中の作品が輝きを増すわけでもあり。
posted by しんかい at 20:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月12日

Collision Course by Jay-Z + Linkin Park

Collision Course

引退したんじゃないのかよジェイZ。
このアルバムの全米チャート初登場1位と、ジェイZのDef Jam社長就任がほぼ同時に伝えられた。相変わらず商売が巧すぎる。
スタジオ録音6曲入りのCDと、ライヴ6曲+その舞台裏などのDVDの2枚組。かなり変則的なパッケージだが、もともとは一晩限りのステージでリンパクとジェイZが共演したのが発端になってるわけで、それをよくここまで短期間に、ここまでちゃんとしたパッケージに仕上げたものだ。
リンパクの持ちネタの曲に載せてジェイZがラップをのっける、というのが基本スタイルだが、逆にジェイZの「Big Pimpin'」のトラックに載せてマイク・シノダがラップしたりもしている。下手に新曲を作ったりせずに、お互いの持ちネタを組み合わせる、という企画が良かった。リスナーが既によく知ってる曲がどんな風に料理されるのか、好奇心と驚きをもって接してもらえる。
もともとリンパクはボーカルが半分ラップなわけで、ラップとの相性が悪いわけはないし、ジェイZも「99 Problems」をヒットさせた後で、今はイメージ的にロックとの組み合わせに違和感がない。そして何より、まずステージで一緒に共演する、という経験を経た上でスタジオ録音しているので、両者のコラボレーションがしっかりしている。もちろんここで比較対象となることが避けられないのが、こないだ出たばかりのジェイZとR.ケリーとのデュエットアルバムだ。「Best Of Both Worlds」なのは事実だからそう主張するのはいいのだが、何のシナジーも生まれていない、形だけの共演という匂いがいかにもぷんぷん漂ってきて、一応速攻で買いはしたものの、ほとんどまともに聴いていない。時間がとれないせいもあるが、たぶん未だに通して全部聴いたことは一度もない。
それに比べると本作はちゃんとした共作という感じがして、まず好感が持てる。そして、ネタ的に楽しめる。ジェイZの曲もリンパクの曲も両方元ネタを知っているので、それをどう組み合わせて、どんな仕上がりになってるのか、純粋に”楽しむ”ことができる。「Izzo」のトラックのそのまま「In The End」のライムをのっけてたりするのはかっこいいと言うより微笑ましいし、「99 Problems」と「Points Of Authority」「In The End」を組み合わせて全体にロック色強く仕上げた曲は素直にかっこいい。

実は時間がとれなくてDVDのほうはまだ断片的にしか見ていないのだが、ちゃんと1時間以上内容のあるマトモなものだし、これはかなり楽しめる作品だ。リンパク(だけ)のファンにはあまり評判がよくないようだが、まあシノダとチェスターの出番が少ないのだから気持ちはわからんでもない。どっちかの熱烈なファンではなく、ジェイZとリンパク両方ともそこそこ好きだという人こそがいちばん楽しめるのかも。
posted by しんかい at 01:39| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Urban Legend by T.I.

Urban Legend

T.I.を最初に知ったのは例によって「Murder Dog」誌。01年のデビュー作「I'm Serious」がその年のベストアルバムの1枚に選ばれていた。当時から一応メジャーレーベル所属ではあったものの、アートワークにも、その佇まいにもいかにも地方出身らしいインディくささが漂っていた。もちろん、そこが醍醐味でもあるので、私はけっこう楽しんで聴いていた。
売れなかったものの、流石に本国ではそれなりに評判が広まっていたと見えてセカンド「Trap Muzik」はいきなり全米チャート4位という大ヒット。今回も年末商戦のこの時期に7位と健闘した。
実はライムのスタイルにも声にもあまり特徴のない、純粋にラッパーとしてはあまりスター性のない人だと思う。決して下手とかいうわけではなく。しかしルックスがいい。それも、ファボロスみたくいかにもルックス先行です、という感じの厭味っぽさがないのがいい。今回はなんかジャケは変だが、ブックレットの中の写真はどれもシックでかっこいい。なんで一番変な写真をジャケにするんだろう。

さて中身。ラッパーとしての強烈な個性がない故に、プロデューサーの作風に染められやすい。それが、今は、巧く機能している、デスチャまでもがゲストに迎えたがる今のT.I.だから、ちゃんと一流のプロデューサーがついてくれる。昔からT.I.と組んで、彼の特徴をよくわかっている馴染みのプロデューサーが手堅く支える一方、現在のヒップホップ界を支える大物たちが作品を提供する。しかも、それが、かなりプロデューサーの個性を強く出している。マニー・フレッシュ、ネリーと組んだジャジー・フェイのプロデュース曲、B.G.と組んだ「What They Do」はニューオーリンズ人脈でKLCがいかにも変態なトラックを提供。誰が聴いてもそれとわかるアゲアゲ系トラックはやっぱりスウィズ・ビーツ製作だし、リル・ジョン製作曲はやっぱりリルジョン風味にしかならない。どこかで聴いたようなフレーズを歌うファレルをフィーチャーした「Freak Through」はネプチューンズが変な小技を使わずに素直に作ったグルーヴィな曲。更にはダズ・ディリンジャー製作でウエッサイ・スタイルのレイドバックした曲。これだけのプロデューサーのスタイルを、軽々と乗りこなすT.I.。没個性であるが故だとか、アルバムにまとまりがないとか、否定的に論評するのは簡単だが、やっぱりここまで色々なスタイルを乗りこなす器用さは、評価しないといけないだろう。
中でも素晴らしいのはネプチューンズ製作の「Freak Through」だ。ファレルのコーラスはスヌープの「Beautiful」の二番煎じっぽいのだが、ベース音が前面に出たシンプルなトラック、後ろのほうでそっと鳴るほんわか系のキーボード、リラックスして淡々としたスタイルのT.I.のラップ、これが一体となって何とも言えない心地良い空気を醸し出す。変態っぽいトラックばかりがネプチューンズの持ちネタじゃないし、こういうシンプルな「いい曲」こそがT.I.という素材の良さをいちばん引き立てるのかもしれない。実はネプは、01年の「I'm Serious」からの付き合いなので、T.I.の個性がよくわかっているのだろう。

前作はかなりの傑作だったので、今回はそれには及ばないが、まあそこそこあれに迫る出来だと言っていいだろう。どうも同クラスか、それ以下のレベルの同世代ラッパーたちと比較しても日本では人気がない(知られていない)と思うのだが、トリック・ダディと並んでこの冬必ず押さえておくべきヒップホップ作品である。
posted by しんかい at 01:12| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(1) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月06日

Greatest Hits by Creed

Creed GH

このジャケ(笑)。やーもうやる気無さすぎ。
けいさんも書いていたが、もともとアルバムではつながっていた「Higher」と「With Arms Wide Open」をそのままのバージョンで曲順入れ替えて収録するもんだから途中でぷつっと音が切れる。まあ、「Higher」のイントロのほうはごまかしが効かないこともないんだが、「With Arms〜」の終わり方のほうはいかにも変だ。全部単純にアルバムバージョンを寄せ集めただけかと言うと「What's This Life For」はアルバムより短いバージョンだし、なんかよくわからない。

ビデオクリップ集のDVD。プレイヤーにかけると、メニュー画面が表示されるが、各曲へのリンクがあるだけ。あ、つまり、Quitとかのメニューがない。更に致命的なのは、全曲を流して見ることができない。1曲終わると、必ずまたメニューに戻ってしまうのだ。君たちねえ...

実際には、大手の配給を受けているとは言え彼らの所属はWind-Upという小さなレーベルなので、立派なモノ作りには慣れてないし限界もあるんだろうということは、なんとなく想像はつく。

しかし、このおおざっぱな、大味なアメリカ人らしさが何ともクリードらしい。
巷で馬鹿にされがちなスコット・スタップの勘違いぶりとオーバーラップさせて、いやーこんなバンドだったよねと小馬鹿にしつつ、でもいい曲やってたよなーと感慨に浸るのが正しい接し方か。
いつもながらamazon価格と輸入盤店店頭価格には軽く数百円の価格差があるのでご注意。
posted by しんかい at 00:11| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月05日

Bad Boy's R&B Hits

Bad Boy R&B Hits

またまた何だかえらい中途半端なものを出してきたね。
こないだBad Boyレーベル設立10周年記念ということでCD+DVDのベスト盤を出していたけど、あれに漏れた曲を集めた第2弾、という感じ。結果的にヒップホップよりR&Bの曲が多かったんで、じゃあR&Bヒッツってことにするか、というノリで集められたと思われる。
CDが12曲、DVDが7曲というボリュームは何とも中途半端だし、メアリーJブライジやジョデシなど別にBad Boy所属じゃない人の作品も入っている。P.ディディとR.ケリーによる「Satisfy You」を収録するのはいいんだが、裏ジャケの3分の1ぐらいの大きさを占領してR.ケリーの写真を載せちゃうのはどうかと思う。

と、何だか全体的によくわからない作品なのだ。位置づけも中途半端、中身も中途半端。Bad Boy全盛期に生み出された数々の傑作リミックスが収録されてるわけでもなく。もうこうなったらもう1枚ぐらい、今度は「Remixes」でも出してくれれば納得。その時はトータルの「Kissin' You/Oh Honey」を忘れずに収録よろしく。
posted by しんかい at 23:50| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Bridget Jones - The Edge Of Reason, Soundtrack

Bridget Jones 2

「ブリジット・ジョーンズの日記」。この手の映画はあまり好みではないので、映画自体は別にいいのだが、サントラが素晴らしいのだ、このシリーズは。
前作はシェルビー・リンの「Killin' Kind」やロビー・ウィリアムスの「Not Of This Earth」やディナ・キャロルの「Someone Like You」といった地味な佳曲を満載した素晴らしいサントラだった。
半分弱程度収録される過去のヒット曲もなんとなく選曲の一貫性というか必然性というか、ポリシーが感じられるような気がして好感が持てた。

続編となる今回「Bridget Jones - The Edge Of Reason」も、私的にはサントラに期待が高まる。
既にシングルとしてジャメリアの「Stop」とジェイミー・カラムの「Everlasting Love」がヒットしているが(ともにカバー)、そんなに大した出来でもないので、今回はまああまり期待しないほうがいいのかな、と思い直しつつ聴いてみると... これといった一曲はないが、全体にやっぱりセンスがいい。ウィル・ヤングの「Your Love Is King」(シャーデーのカバー)なんて、ちょっとこの選曲と組み合わせにはニヤリとしてしまう。ケイト・マクガリグルの「I Eat Dinner」を息子のルーファス・ウェインライト(とダイド)にカバーさせるという相当マニア度の高いものから、スティングとアニー・レノックスによる「We'll Be Together」の再録というわかりやすい王道モノまで、新録物はほとんどがカバー。過去のヒットは、ミニー・リパートンの「Lovin' You」にしろ、10ccの「I'm Not In Love」にしろかなりベタだが、この辺は実際に映画を見て、その使われ方を見ないと評価できないだろう。

こうして書いてみるとなんかあまり聴き所がなさそうだが、一般のレビューでは無視されてしまいそうな地味な人が実は聴き所。レオナ・ネースという女性の「Calling」なんてまさに前作の切ない雰囲気を受け継いだ佳曲だし、過去のヒット曲の中でもいちばん「いいなー」と思うのは超有名曲群に混じるとやや地味なカーリー・サイモンの「Nobody Does It Better」だったりするし(これも全米2位の大ヒットではあるんだけど)。
つまり「すごく有名な曲」と「地味だけどいい曲」しか入っていない。捨て曲がないのだ。地味な曲ほどいい曲のように聴こえるから、なんだか全体としてすごくレベルが高いように感じられてしまう。まあ考えようによっては「気のせい」ではあるのだが、やっぱりいいサントラである。

それにしてもブックレットに写るレニー・ゼルヴィガーの太りっぷりは凄い。役のためにここまで自分を悪い方向へと改造してしまうプロ根性は見上げたものだ。
posted by しんかい at 01:11| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Ultimate Kylie by Kylie Minogue

Ultimate Kylie

カイリーのベスト盤。まあ、普通に考えれば「また?」である。
しかし今回はかなり気合いの入ったパッケージだ。ジャケからしてもう、いかにも勝負ジャケだ。今回の売りはなんといっても、PWL時代、インディ時代、そして現在Parlophone/EMIまで、レーベルを横断して彼女の全キャリアを1パッケージで初めて網羅したこと。過去の作品をこまめに買っているファンにとっては別に意味ないが、便利な決定版ベストが欲しいと思っている一般人にとっては実にありがたい。

CDは2枚組で33曲、日本盤はボートラ入りで36曲。これで3200円だから、まあCCCDとはいえ頑張っている。輸入盤はもちろん総じて更に安い。しかし実はもっとお買い得なのはDVDバージョンである。
1枚モノだが2時間を越える収録時間にたっぷり32曲を収録。ビデオクリップ31曲に、オマケ扱いとしてブリット・アウォードでの「Can't Get The Blue Monday Out Of My Head」のパフォーマンスを収録。なぜかamazon.co.jpではこれのUK(EU)版を扱っていないのは納得いかないが、たとえばhmv.co.jpでは2600円台で売られている。日本盤発売は来年で、3800円らしい。(上のジャケのリンクはhmv.co.jpへ)

さすがに操り人形アイドル時代の「I Should Be So Lucky」とかは音も映像も80年代モロ出し全開で、けっこうキツいものがある。あー、こんなのあったよねー、と軽く流して一度見ておけば充分だろう。時代を追う毎に音は聴き応えが増し、映像は見応えが増す。冷遇されたインディ時代を経て、一線に返り咲いた瞬間の輝きといったら。いきなりオーラが漂い始め、無敵の快進撃が始まる。

どちらかと言うと決まった振付けとか、決まった演技とかをする映像が多い一方で、とても自然な表情とダンスを見せてくれる「Love At First Sight」がやっぱり白眉だ。その映像に、邪魔にならない程度に“線”が絡んできて、さりげなく芸術的な仕上がりになってたりするあたりも見事だ。
続く「In Your Eyes」はいったいどうやって撮ったの?と思ってしまう重ね撮りのアイデア一発勝負ではあるのだが、何度見ても目を離す隙がないのでついつい最後まで見てしまう。映像が面白すぎて音があまり印象に残らなかったりもするのだが。

とても楽しいのは歌詞表示機能。まあ、要はカラオケの字幕がON/OFFできる。これONにしておくと、その気がなくてもついつい一緒に歌ってしまう。曲によっては字幕の出るタイミングがぎりぎりすぎて歌いづらいのだが。

決して「全曲集」ではないので抜けているヒットもある。マニアだったら、そういう曲の映像こそ収録して欲しかった、こんなの見飽きた映像ばかりだ、というだろう。その通り。これはマニア向けの作品ではない。今までカイリーのDVDなんて持ってないし、実はインディ時代なんて曲もあんまり知らない、なんていう人向けのお手軽な作品である。いや、でも、これはコストパフォーマンス充分。ジュエルケースに入って全体にテカテカで光沢感があってゴージャスな感じがする装丁も良い。
posted by しんかい at 00:31| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月26日

Destiny Fulfilled by Destiny's Child

Destiny Fulfilled

デスチャの新作は、意外な程正統派のスロー〜ミディアムが多い。というか、大半を占める。シングルヒットしてるのは相変わらずのイケイケなアップ「Lose My Breath」と、南部ラッパーを迎えたユルいヒップホップの「Soldier」なので、この路線を期待してアルバムを聴くとえらく地味で、スローで、意外性がないのでがっかりすると思う。しかし、1曲1曲をきちんと聴いていくと、これがえらく出来がいい。
そこはかとなく、そっと色気を漂わせる「T-Shirt」とか、70年代後半のデニース・ウィリアムスあたりのフリー・ソウル感が漂う「If」とか、しっとりしたスローなのにボーカルはしっかり早口でデスチャらしさが発揮された「Cater 2 U」とか、ケリーが(ブラマコの力を借りて)主導権を握った美メロバラード「Bad Habit」とか、いちいち出来がいい。全曲がよい曲だと言い切れるアルバムだ。特にロックワイルダー製作曲が白眉。むしろシングル曲の「Soldier」なんて出来の悪い部類だろう。決してムリすることなく、ミッシェルにもビヨンセと同じぐらいのスポットを当てて、それでちゃんとバランスが取れている。ビヨンセがソロであれだけ成功した直後に、これだけグループとしてバランスがとれた作品に仕上げたのは見事だ。もちろん製作する側は、それをすごく意識しての上だろうけど。
ボーナストラックを入れても12曲とボリューム的には物足りない。当初伝えられたようなDVD付作品でもないし、どうも、当初の予定通り作っていると発売スケジュールに間に合わなくなるので、当初予定をスケールダウンしたんではないか、なんて邪推したくなる。
しかし逆にそれによって、内容の濃い、無駄のない、引き締まった作品となった。スローが大半を占めるのは賛否両論で、どちらかというと否のほうが多いのではないかと思うが、私はこれは今までのデスチャのアルバムの中で、購入直後に繰り返し聴いた回数が圧倒的に多い。実はエミネムよりもリル・ジョンよりもずっと気に入ってたりする。
posted by しんかい at 01:48| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(3) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月24日

Mind, Body & Soul by Joss Stone

Mind Body & Soul

ジョス・ストーン。
デビューEPがカバー集というのは異色だった。とりあえず歌の巧さは本物だということはよくわかったが、この子の実力はまだ未知数だと思っていた。
で、登場した正式なデビュー作。先行シングル「You Had Me」。あ、こりゃダメだと思った。歌は巧いが、自分の好みではない、と。
それでもうすっかり自分の守備範囲の外に置いといたのだが、ある日気になるレビューをどこかで見かけた。このアルバムを評して「You Had Me以外はすべて素晴らしい」と。むむ。気になる表現だ。
それから程なくして、中古屋で手頃な値段で出ているのを発見。上のレビューの言葉を思い出しつつ、ゲットした。
結果として、そのレビューにはとても感謝している。どこで見たんだか忘れちゃったんだけど、やっぱレビューは本音で書くに限るね。何でもとにかく褒めておけばいい、ってのは結果として消費者のためにならないし、消費者の満足につながらないということはレコード会社やアーティストにとっての不利益にもなるんだからね。

1曲目から聴き始める。うわー。60年代後半のソウルじゃんかこれ。トニ・トニ・トニの「House Of Music」を聴いた時の感覚に似た、つい頬がゆるんでしまう心地よさ。このクラシック・ソウル感は全編に貫かれ、確かに、かのレビューにあったように、「You Had Me」だけが浮いていた(日本盤のみボーナストラックの「Holding Out For A Hero」のカバーはアレンジの巧みさもあって案外浮いてない)。確かに力強さのある曲なのでシングル向きと言えなくはないが、こりゃ損してるよ。もっとアルバムのカラーがきちんと伝わるようにちゃんと売れば、「The Diary Of Alicia Keys」の3分の1ぐらいは売れててもおかしくないよ。

プロダクションのしょぼさも随所で気になる。「Don't Cha Wanna Ride」なんかサンプリングに頼らずに本物のホーンセクションを使って、グルーヴィなリズム隊を連れてくれば絶対もっとかっこよくなったのに。ベティ・ライト、アンジー・ストーン、ラモント・ドジャー、クエストラヴといった人材が随所に絡んではいるものの、そのサポートは部分的に留まっている。
やっぱ17歳の新人の女の子、いくら天才的に歌が巧くても、バンドに指示を出すところまでは指揮できないだろうから、この辺が「他人任せ」になってしまっているのが惜しい。誰か大物プロデューサー、助けてやってくれ。というか俺にプロデュースさせてくれれば21世紀のアレサ・フランクリンに育てるんだけどなあ。すっげえ巧いグルーヴィなバンドに演奏させて「Until You Come Back To Me (That's What I'm Gonna Do)」とか思いっきり歌わせてみたいなあ。
posted by しんかい at 00:44| 東京 🌁| Comment(6) | TrackBack(1) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

The Best of Mandy Moore by Mandy Moore

Best of Mandy Moore

マンムーのベスト。
まず、企画自体に無理がある。
アイドルとしてのデビューアルバム。案外売れなかったので曲を追加したりして出し直した再デビュー盤。背伸びしてイメチェンを図ったセカンドアルバム。そして、3作目であり、絶妙の選曲が世のオヤジたちを虜にしたカバーアルバム。
カバーアルバムと出し直し盤を数えないと、2枚しかアルバムを出していないのである。いくら何でもそれでベスト盤は。

まあ、こういう場合たいていは「レコード会社が勝手に企画して出してしまった」というパターンである。今回もそのようで、マンムー自身はまだベスト盤を出すには早すぎると考えていたようだ。

しかしマンムーである。とりあえず、気になる。
何が気になるって、前作、カバーアルバムのあまりの出来の良さである。あれを経た今の彼女なら何かやってくれるんではないかと期待がふくらむ。
しかし、やっぱレコード会社主導で作られたこのベスト盤には新曲は含まれず、その期待は空振りに終わった。サントラの曲を収めていたりもするので便利だが、実はそれだけではこれは「買い」ではない。

...そう、おまけつきなのだ。これまでの全ビデオクリップ集DVD付き。8曲のビデオクリップとスタジオライヴ4曲。ブリトニーのようにビデオクリップ集を別売りして小銭を稼ぐ、なんて立場ではないことは本人たちも重々承知しているだろう(ビデオクリップ集って過去に作ったものを寄せ集めるわけで、新規に費用は発生しないのだから、これを単独で商品にできれば、商売的にはすごくおいしいと思う)。

どうもamazon.comでもamazon.co.jpでもDVD付のアメリカ盤が検索できないのが気になるが、日本盤は若干高いながらDVD付/なしの両バージョンで出るようなので、とりあえず手に入らないということはなさそうだ。
私はHMVの店頭で購入した。これも、こないだのライヴのベストと同様、見つけた瞬間手に取っていた(笑)。
posted by しんかい at 00:40| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(2) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月16日

London Calling by The Clash

London Calling

トラヴィスの記事で触れてしまって、「いつかは書かねば」という思いが再燃した。この際だ、書いてしまおう。ザ・クラッシュ、「London Calling」25周年記念盤。
オリジナルアルバムに加えてデモ・トラック集と、レコーディング風景などを収めたDVDがセットになった3枚組。確かに歴史のお勉強的な意味でデモ・トラック集も興味深くはあるのだが、やっぱりこのオリジナルアルバムの輝きに勝るものはない。

今でもお気に入りの逸話がある。
このアルバムは本国イギリスでは79年のリリースだが、アメリカでは数ヶ月遅れて80年2月の発売だった。だから、アメリカを代表する音楽雑誌「Rolling Stone」誌が、「80年代のベストアルバム100枚」で、このアルバムを第1位に選んだことも、決して間違いではなかった。しかし、その知らせを受けたジョー・ストラマーは、喜ぶよりも何よりもまずこう応えた。「ばかたれ。あれは79年のアルバムだ」

大学生時代にこのアルバムを初めて聴いて以来、これを越える作品には未だに出会っていない。ヴァン・モリスンの何枚かのアルバムや、「Beggar's Banquet」や「Ziggy Stardust」など、いくつかこれに並べてもいいぐらいの作品はあるが、これを越えるものはない。私が洋楽を聴き始めて以来、いったい何千枚のアルバムをこれまで聴いてきたのかよくわからないが、その頂点に立つ作品である。
同時に、その“良さ”を言葉で表現するのにこれほど苦労する作品もない。色々表現を考えるのだが、結局「かっこいい」という言葉に行き着いてしまう。
ただ、まあ、ロックってのはそういうもんだよな、とか思ってみたり。
決して、これは誰もが気に入る作品だとは思っていないし、聴いてみたけど良さがわからなかったという人がいても、私はそれはごもっともだと思う。ただ、いったん波長さえ合ってしまえば、私と同様、これを越える作品はないと断言できるはずだ。
posted by しんかい at 02:30| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Singles by Travis

Travis Singles

トラヴィスの「The Man Who」には参った。こんなに繊細で美しくも力強いロックを聴いたのは、本当に何年かぶりだった。私はこういう執筆活動とかやっているので、1年に聴く新譜の数は(きちんと数えてるわけではないが)100枚は下らないはずだ。つまり、私的には、「The Man Who」は何百枚かに一枚、というぐらいの素晴らしい作品だった。
このベスト盤で聴いても、やはりひときわ輝いているのは「Driftwood」であり、「Turn」だ。
だから、「The Man Who」の後の待望の新曲で演歌ポップ「Sing」が登場したときには、ひどく落胆した。これは、セルフ・パロディというやつか?その次のアルバムの「Re-Offender」を聴いて、更にその思いを強くした。そして、もうこれは自分には縁のないバンドだと判断した。
で、ベスト盤の登場。そして、新曲「Walking In The Sun」。あれ、あの、狙いすぎた辛気くささがない。他愛ないぐらいの無防備な曲だが、この朴訥とした愛らしさこそがトラヴィスの味ではなかったか。

あの頃の空気は、彼らにも二度と表現できないだろう。歴史上どんなに偉大なミュージシャンでも、その頂点の時期の空気は、二度と再現することはできなかった。ローリング・ストーンズの「Beggar's Banquet」であれ、クラッシュの「London Calling」であれ、スティービー・ワンダーの「Innervisions」にしても、マイケル・ジャクソンの「Thriller」にしても。
バンドの波長が、時代の波長と奇跡的に一致したときにだけ放たれる輝き。幸運にもトラヴィスは、その輝きを手にした。たとえ過去の一瞬の出来事であれ、彼らは他の凡百のバンドとは違う次元に立った。
そう思うのは私だけかもしれない。それならば、それでもいい。それだけ大切な思いを抱かせてくれる作品を出してくれたことに、心から感謝したい。だから、やっぱり、このベスト盤よりも「The Man Who」のほうが、私にとっては“トラヴィスのベスト盤”であり続けるわけである。
posted by しんかい at 02:05| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月14日

Greatest Hits: My Prerogative by Britney Spears

My Prerogative

私の年齢の人間としては当たり前のことなんだが(苦笑)、ブリトニーには年々興味を失うばかりである。いや、それは必ずしも私が「ブリトニーを聴いて楽しむような年齢ではない」せいばかりではない。
彼女なのか、或はそのスタッフなのか、とにかく派手な目立つことをやってトップ・スターとしての地位を保とうと努力しているのはわかる。が、マドンナをひっぱり出した「Me Against The Music」にしろ、ほとんど全裸でビデオクリップに登場した「Toxic」にしろ、とにかくインパクトが第一、みたいなところがハナにつく。
セカンドアルバム以降の彼女は、マスコミやファンが築いてしまったブリトニーという偶像に追いつくべく、もがいている少女の姿でしかなかった。そこにはスター性もアイドル性も感じられず、ただ物悲しさだけが感じられた。「Lucky」では少しそんなところを表に見せたりもしてみたけど、やっぱりそれは「私だってみんなと同じか弱い女の子で、独りぼっちで寂しいの」という姿を“演じて”いるブリトニーでしかなかった。
今のブリトニーを見ていると、「Erotica」へと向かって突き進むマドンナを見ているような気分になる。

などと全面否定しててもしょうがない。過去のmeantimeを読んでくれてる人ならご存知の通り、私は決してブリトニーは嫌いではなかった。「Sometimes」のあまりの名曲ぶりには平常心を失い、セカンドアルバムで離れた興味も、ちょっと切なげな3作目で少し持ち直した。で、それ以降が、上に書いた通り。
しかしこうしてベスト盤で聴いてみると、やっぱり彼女はこの時代のトップスターとして相応の扱いを受けているのだと改めて実感する。楽曲の質のレベルが均一だ。つまり、アルバムからの第1弾シングルだからといって他よりすごく良い曲ってわけではないし、第4弾だからイマイチということもない。こうして並べて聴くに耐えるだけの楽曲を、常に与えられている。

ボーナスディスクがつくのは初回だけだろうし、値段も安いし、とりあえず買っておくか、と買っておいた。
馴染みのある曲ばかりなのにあまり楽しめないのは、単純にどの曲も聴き飽きているからなんだろう(今はCD屋に行くといやでも耳にするし)。何年か経って聴き返した時に、「ああああやっぱSometimesって名曲だよなあ」と感動したいものである。
posted by しんかい at 21:40| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

eMOTIVe by A Perfect Circle

eMOTIVe

ア・パーフェクト・サークルって一時的なサイドプロジェクトなのかと思ってたら順調に作品を重ねて、もう3作目。今回は元スマパンのジェームス・イハを正式メンバーに加えて... なんていう情報は他のサイトに譲るとして。カバー集である。オリジナル曲も2曲あるが、それ以外の10曲はカバー。それもジョン・レノンの「Imagine」とか、マーヴィン・ゲイの「What's Goin' On」とか、エルヴィス・コステロの「Peace, Love & Understanding」とか、およそ彼らの音楽性とは結びつきそうにない楽曲が多い。これらの畑違いの曲をすっかり彼ら流にアレンジしてしまったのは見事。一言で言うと、暗い。半音ずらしたメロディ、静寂の中に響く乾いたドラムス、囁くような、つぶやくようなボーカル。
聴く前に曲目を見て、この曲だけはどんな感じか想像がついた... つもりだった「When The Levee Breaks」(トラッド、レッド・ツェッペリンのバージョンが有名)はピアノ基調の静かな曲になっていたり、ジョニ・ミッチェルの「Fiddle And The Drum」なんか最後まで全部アカペラのコーラスだったり、まったく予定調和を許さない、聴き手に緊張感を強いる作品である。
ブックレットのイメージは、よくSF映画に登場するような、瓦礫と化した都市。まさに、こんな風景の中で鳴っているような音。決して轟音に訴えるわけではなく、抑制の効いた音が、ほどよく緊張を高める。

で、これが単に「意表を突いたカバー集」だったらしょうもないのだが、これまで挙げた何曲かでも明らか通り、ここには明らかなメッセージ性がある。それはもうバンドのロゴマークと並んでピースマークがあしらわれたジャケにも明白だ。
いまどき、「Imagine」や「What's Goin' On」をかっこよくカバーできるなんて、本当に基調な個性だ。

amazon.comのカスタマーレビューにも他の作品より多くの声が寄せられて、いかにこのアルバムがコントロヴァーシャルなものであるかを物語っているが、そのレビューの大半が星一つか星五つ、つまり「最悪」か「最高」か、どちらかの評価に偏っているのが面白い。
posted by しんかい at 20:41| 東京 ☁| Comment(19) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月12日

Greatest Hits 2 by Toby Keith

TOBY GH2

待ってました。
トビキーのベスト第2弾。すなわち、ポップチャートでもヒットを出し始めてからの彼の集大成。カントリー云々ではなく単純にポップソングとしてセンスのいい「How Do You Like Me Now ?!」も、「I'm Just Talkin' About Tonight」も、カントリー・ラップの「I Wanna Talk About Me」も、ウィリー・ネルソン親父との酔っ払いデュエット「Beer For My Horses」も、もちろん物議を醸したあの「Courtesy Of The Red, White And Blue」も収録。この一曲でトビーのことが嫌いになったという人は私の身のまわりに多いが、私はあまり目くじら立てるつもりはない。むしろ彼のソングライティングのセンスも、歌声も、かなり好きだったりする。

3枚のヒットアルバムからそれぞれ3曲。新曲3曲、さらにライヴ音源2曲。計14曲で50分とやや物足りない。そういえばもっとヒット曲が多いような気が... とよく考えてみると、実は最新のオリジナルアルバム「Shock'n Y'All」から1曲も収録されていない。はて。まだまだオリジナルアルバムのほうを買わせようという魂胆なのか、ちょっとこの売り方は意地汚いな。これだけいい曲ばかり揃ってる、いいベスト盤なのに、変なところでケチるなよ。もったいないぞ。

新曲もいい。とくに軽快でちょー爽やかなポップ・ロックの「Stays In Mexico」は素晴らしい。
「Courtesy Of 〜」で彼にバッテンをつけた人も、毛嫌いせずにぜひ聴いて欲しい。ほんと、こいつはソングライティングのセンスはあるって。確かにアメリカの覇権主義は気に入らないが、ブッシュを嫌うのと同じレベルでこいつを嫌ってはいけないと思う。しょせんは単なるエンターテイナーなんだから。どちらかというと私は、「俺様の国」をそれだけ自信たっぷりに誇らしげに歌ってしまえる、そんな国民がちょっと羨ましかったりする。ハッタリでもいいから日本人にもそんなこと歌って欲しいよ。
posted by しんかい at 01:47| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月10日

Awake - The Best of Live by Live

Awake by Live

あ、これは買うでしょ。
と見つけた瞬間に無条件に手に取ってしまった。ライヴ(バンド名)のベスト盤。いや、もともとこのバンドは好きなので、オリジナルアルバムは全部持っている。なので、一応新曲も入っているが、「ライヴのベスト盤である」こと自体は、購入の決め手ではない。
ずばり、おまけDVDである。
いや、こうなってしまうとどっちがオマケなのかわからない。CDは彼らの代表曲を一通り網羅して新曲も加えて19曲。さらにこれに付属するDVDが、ビデオクリップやライヴ映像18曲22バージョン、収録時間90分超という大盤振舞い。決して日本で人気が高いバンドでもないのでビデオクリップを見る機会もあまりない。少なくとも、ファーストアルバムからの曲は私は今回初めて見た(ボーカルのエドが笑えるぐらい若々しい)。
これだけ充実したパッケージで、レコファン実売価格1890円。買わない理由がない。

私は、セカンドアルバム「Throwing Copper」がチャートインからまる1年かけてじわじわとチャートを上昇し、ついにNo.1の座にまで昇りつめた、商業的なピークの頃のライヴには、実はそれほど興味はなかった。むしろ、なぜ売れるのかよくわからずにいた。確かに「Selling The Drama」は名曲だし「All Over You」とか大好きだが、なんというかフツウのロックで、1位になって何百万枚も売れるような作品だとは思えなかった。
次作「Secret Samadhi」で認識が変わった。こいつら、凄いかも。
その認識は今でも変わらない。このアルバムはハードでやや難解なところがあるが、圧倒的なカリスマ性がある。ちょうど、トゥールのような存在感だ。
以後彼らのアルバムは完成度が甘くなり、商業的にも落ち目になるが、やっぱりいい曲をやっていて、どうしても気になる存在であり続けた。今年は思い切って産業ロックに徹した「Heaven」がヒットしたりして、少し人気が持ち直したのかな?と思ったところでこのベスト盤の登場。
本当は、せめてマリマン並ぐらいには売れて欲しいけど、きっと全然売れないだろうなあ。
いや、まあ、それはいい。この超お得パッケージは、「Selling The Drama」でも「I Alone」でも「Lightning Crashes」でも「Run To The Water」でも「Heaven」でも、1曲でも好きな曲があれば買い。きっとDVD付盤が出回るのは発売当初だけなので、早めにゲットしておこう。
posted by しんかい at 00:47| 東京 🌁| Comment(9) | TrackBack(2) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月31日

Words & Music: John Mellencamp's Greatest Hits by John Mellencamp

Words & Music

ジョン・クーガー・メレンキャンプは、私の青春である。というのは前にもどこかで書いていると思うが。
1985年、高校1年生だった私がクラスの友人たちと一緒に行った初めてのコンサートが、ジョン・クーガー・メレンキャンプだった。もちろんそれは、彼のことが、別格と言っていいぐらい好きだったからだ。当時は1枚のアルバムを買うにも苦労する時代。わずか数時間のためにアルバム数枚分のお金が必要なコンサートは、やはり敷居が高い。
正直なところコンサートの内容自体はもうよく覚えていない。でも、あれから20年近く経った今でも、私はジョン・メレンキャンプが好きだし、彼の作品を買い続けている。これって、実はかなり凄いことかもしれない。
もちろん当時はアメリカらしいロックと言えば、ブルース・スプリングスティーンがその筆頭だった。まさに「Born In The USA」が大ヒット中だった彼は「ボス」と呼ばれ、貫禄があり、まさに親分としての威厳があった。その一方ジョン・クーガー・メレンキャンプは、もっと一匹狼的というか、少し裏びれた雰囲気があった。「Rain On The Scarecrow」という曲では借金で農場を手放さなくてはならなくなった主人公が、息子の為に土地を残してやれない苦しみを歌う。農民の立場に立って歌うロック。決してかっこいいものではないはずなんだけど、ヤケにかっこ良かった。レーガンの金持ち優遇策で苦しむ農民の支援のためにファーム・エイドというイベントを始めたりする彼の姿を見て、「社会」というものについて学び、考えた。ブルース・スプリングスティーンの「Bobby Jean」の歌詞に「We learned more from a three minute record than we've ever learned in school」という一節がある。実はこれって私にとっても、真実かもしれない。学校の社会科の教科書より、ロックを通じて見たほうが、よほどアメリカの社会というものをたくさん、深く知ることができた。私にそういう物の見方を教えてくれたのが、ジョン・クーガー・メレンキャンプだった。
当時私は農家に囲まれて、まさに農村に暮らしていたので、彼の歌詞はとてもわかりやすかった。もし私が当時都内に暮らしていたら、きっと、まったく違う接し方をしていたんだと思う。高校は、家のほうに比べれば少しだけ都会だったので、私は学校では「田舎者」だった。だからこそ、田舎者であることを、朗らかに、誇らしげに歌う「Small Town」は心に染みた。

名前を本名のジョン・メレンキャンプにし、だんだん存在感が地味になってきて、もう現役アーティストという感じはしなくなってしまった。そして、届けられた、キャリアを総括する2枚組ベスト盤。実に感慨深い。デビュー当初から21世紀まで25年のヒットを網羅。
80年代のヒットは今聴いても自然に歌詞が出てくる。あの頃は1枚CDを買ったら、たとえ好きになれなくても、意地でも何十回も聴いたもんなあ。ましてや大のお気に入りだった「Scarecrow」なんて何百回聴いたかわからない。
別に、あの頃の思いでが蘇ってくるとか、センチメンタルなことを言いたいわけではないし、実際のところ、そういうわけでもない。ただ、今聴いてもやっぱりいい曲だなあ、と。
「Pink Houses」や「Jackie Brown」といったアコースティックで素朴な曲も、彼の反抗的で一匹狼的な姿勢がポップな形で現れた「Authority Song」、田舎者賛歌の「Small Town」、5分半の曲のうち冒頭2分半がイントロのギターソロという大胆な「I Need A Lover」、むしろオヤジになってから洗練されてきて「Key West Intermezzo」みたいな曲をやったり、21世紀になってもちゃんといい曲を書いてる「Peaceful World」なんてのもあったり。新曲は2曲で、なんとベイビーフェイスのプロデュース。でも別に違和感のない仕上がり。そういえばベイビーフェイスってギタリストだしね。
初回はオマケDVDもついてきて、懐かしいビデオクリップが入っているが、なぜか5曲しか入っていないという中途半端なボリュームなのは不満。別売りしたいならそれはそれでいいから、ちゃんとしたビデオクリップ集を作って欲しい。

正直なところ、この人にいは思い入れがありすぎて、普通の人がこれを聴いて純粋に音楽的にどれほど楽しめるのかはよくわからない。しかし、世間一般では“超大物”というほどの存在感ではない彼が、全米チャートで本作を初登場13位に送りこんだ。やっぱりこの人に、特別の何かを感じている人は少なくないはずだ。
posted by しんかい at 22:02| 東京 🌁| Comment(5) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Ten Years Gone : The Best Of Everclear 1994-2004 by Everclear

Everclear

エヴァークリアというバンドは基本的には好きなバンドだ。いくつか、すごくいいと思う曲もあるし、全体的には好きな感じだ。しかしなぜかアルバムを聴いてると途中で飽きてしまう。全然いいと思えない曲も多く、アルバムによっては買った当時何度か聴いただけでずっとしまいこんだままだ。

「I Will Buy You A New Life」と「Father Of Mine」には、やられた。
「I Will〜」は新しい人生を買ってあげるよ、と男が女に呼びかける歌。と、これだけだと成金主義の単なるヤな奴なのだが、どうも曲を聴いていると、この主人公はやたら貧乏臭く、借金を返したりしている。ライバルの金持ち野郎も君の事を幸せな気分にさせるだろう、ほんの1、2分の間はね。でもこんな気分にさせることができるのは俺だけだろ、と歌いつつ、サビではまるで自分で夢を見るようにつぶやく。「庭を買ってあげるよ、君は花を育てるといい/新車を買ってあげるよ、ぴかぴかの新品で/あの丘の上の、でっかい家を買ってあげよう/君に新しい人生を買ってあげよう/きっと。いや本当に」

「Father〜」は自分を捨てて、つまり離婚して出て行った父親に対する愛憎入り交じる思いを綴った歌。このベスト盤の解説でも「この曲に感動したといってくれる人がいちばん多い曲」だとアート本人が言っている。離婚率の高いアメリカでは、特にそうなんだろう。
アートはこのバージョンが好きだといってラジオ・バージョンで入っているが、私はかなりハードな音使いのアルバムバージョンのほうが好き。

それからヴァン・モリスンの「Borwn Eyed Girl」のカバー。最初聴いた時はヴァン・モリスンを師と仰ぐ私もカバーだと確信できなかったぐらいにアレンジしていて(それは大げさか)、これがまた素晴らしい。ヴァンのバージョンはもっともっさりしていて、もともとロリコン疑惑のある彼の疑惑を高めてしまったが、このシャープでうるさいバージョンはエヴァクリらしく、曲のもともとの良さも活かされていてとてもいい。Smash Hitsにはこっちバージョンのカラオケがあったりして、自分で歌っても実に気持ちいい。

ほかにも「Wonderful」や「Learning How To Smile」とかも好きだし、「The Boys Are Back In Town」なんかのカバーのセンスも好きなんだけど、どうも全体には好きになれない曲も多い。こうやってベスト盤で聴くと比較的好きな曲が多いんじゃないかと思っていたのだが、やっぱりそうでもなかった。私にとってこういうバンドは珍しい。気に入るバンドは、だいたいアルバムのどの曲も平均以上には好きになるものだが、エヴァークリアだけは平均点以下がたくさんある。まあ別にそんなのはどうでもいいことなのだが、そういうこともあって気になるバンドなのだ。
このベスト盤は全米チャートでは180位台と惨敗してしまった。もうピークは過ぎたということなのだろうが、もうちょっと売れて欲しかった。やっぱ、応援する気持ちはあるんだよね。
posted by しんかい at 18:30| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(3) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Amor Y Suerte : Exitos Romanticos by Gloria Estefan

Amor Y Suerte

友人にグロリア・エステファンが大嫌いだという奴がいる。スペイン語圏の人に独特の、舌ったらずな英語の発音がたまらなく嫌らしい。ならばこれを聴かせてあげよう。グロリアの、スペイン語作品ベスト。
グロリア・エステファンはキューバ生まれだが幼いうちに米国マイアミに移り、アメリカ人として育った。80年代半ばにマイアミ・サウンド・マシーンとしてデビューした頃は、他にそういう音楽をやる人がいなかったせいもあって田舎くさいラテン・ポップがやたらと売れまくった。
次第にグロリアはバラードを好むようになったかと思うとディスコっぽくなってみたり、何でもアリの人になってしまった。しかしその一方で、商業的にはあまり目立たないが、彼女はコンスタントにスペイン語作品を出してきた。特に、最初のスペイン語作品は彼女のルーツであるキューバ音楽に正面から向き合った作品として、評論家筋でも非常に評判が高い。
スペイン語作品は、数を重ねるごとにだんだんリラックスした雰囲気になり、遂には2000年に「Alma Caribena」という大傑作をリリースするに至った。リラックスした開放的な雰囲気とピースフルで幸せな空気が漂うこの作品は評論家が褒めるには雰囲気が軽すぎたが、meantimeの一部リスナーは聴き逃さなかった(meantime 2000年年間投票アルバム部門8位)。

そんなわけでこのアルバムは、彼女が「まじめに」ラテン音楽に向き合った作品からチョイスされたベスト盤なので、「ラテンポップ」な曲は入っていない。全米ヒット曲や、そのスペイン語バージョンなんかは1曲も入ってないし、そういうグロリアしか知らない人にとっては、本作のグロリアは別人も同然だろう。CDショップで言うと「ロック/ポップスコーナー」置いてあるものではなく、「ワールドミュージックコーナー」に置いてあるものの音。買うときはそこを承知の上で。
個人的にはこれを聴くよりは「Alma Caribena」のほうを聴いてもらいたいが、グロリアのもうひとつの顔の入門盤としては悪くない。この中で「Como Me Dueke Perderte」が他の曲よりもいい!と思ったら「Alma Caribena」も必聴。

なおおまけDVDにはライヴ映像など5曲分を収録。どうせならスペイン語曲のビデオクリップを網羅して欲しかったなあ。日本ではそんなのよそで見る機会ないんだから。
posted by しんかい at 17:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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