2005年05月15日

「チェチェン やめられない戦争」アンナ・ポリトコフスカヤ

Chechena2.jpg

チェチェンねたは以前も一冊とりあげたが、あれを入門編として読み進めたのがこの本。
著者はロシア人のジャーナリストなので、チェチェンを進攻している側にあたる。それがよくもまあヌケヌケと、と思えなくもないのだが、実際に読んでみるとそんな意地悪を言う気もすっかり失せている。
瓦礫の廃墟と化したグローズヌイに、裏ルートから潜入し、取材だけで終わらず、現地のごく普通の人々の支援をし、軍隊に捕まり、罵声を浴びせられ、放り出される。そんな活動が評価されてロシアのジャーナリスト協会やアムネスティから表彰されたり、02年のチェチェン武装勢力によるモスクワの劇場占拠事件では、交渉役として武装勢力側から指名されたりした。ロシア人としては「話せる奴」だと評価されたということだろう。
チェチェン侵略戦争の背景にうごめく人物や組織について政治的に、そしてもっと泥臭く分析を加えていく後半は、ロシア政界や人脈図について何の前提知識もないとちょっと辛いが、戦時下のチェチェンの一般市民の生活を描いた序盤の重さと、迫力は圧巻だ。「生きる」ということが、どんなに大変なことなのかを、つくづく思い知らされる。

今、別の本を読んでいるが、イスラムがからむと米国や西欧社会はその独立を認めないという。
世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシアから、キリスト教国である東チモールの独立を支援しても、カシミールの独立は許さない。クロアチアは許しても、ボスニアは許さない。グルジアの独立は許しても、チェチェンは独立させない。
日本人は欧米人の言うことしか有り難がらないので、反対側の視点から物を見る事ができない。「国際派」のCNNやBBCが報道することが、公平な「世界のありのままの姿」ではない。
posted by しんかい at 16:48| 東京 🌁| Comment(6) | TrackBack(2) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>日本人は欧米人の言うことしか有難がらないので、反対側の視点から物を見る事ができない。「国際派」のCNNやBBCが報道することが、公平な「世界のありのままの姿」ではない。

全く同感です。ぜひ、欧米ばかりでなく、イスラム国やロシアやアジアやアフリカの音楽やヒットチャートも紹介してください。欧米の音楽だけが「洋楽のありのままの姿」ではないはずですよね。
Posted by ふうた at 2005年05月26日 17:47
今日この本を読みおえました。

インドネシアとロシアの大きな違いは常任理事国かどうか(チベットと中国のように)、に尽きるでしょう。それだけに、チェチェン内部のことが悲惨さの割に全く知られていないことに驚きです。

「文明の衝突」なんて単純な本がベストセラーになってしまったことが残念でなりません。
Posted by ちゅちゅ at 2005年06月10日 23:53
日本人は欧米人の聴く音楽しか有り難がらないので、欧米以外の音楽を聴く事ができない。「国際派」のBillboardやMTVが流す音楽が、「世界の音楽のありのままの姿」ではない。
Posted by けんじ at 2005年06月13日 18:59
>日本人は欧米人の言う事しか有難がらないので、反対側の視点から物を見る事ができない

と、人一倍、欧米人の芸能音楽を有難がっている日本人がのたまっておりますw
Posted by ヒロ at 2005年07月07日 14:37
アメリカのグローバリズムを批判している人間が、
アメリカの音楽ばっかり聴いてるのはなんでですか?w
Posted by ちぇん at 2005年10月30日 18:23
↑上のコメントしてる人、
アメリカは政治と音楽を同じ人がやってるとでも思ってるんですか?w
ほんとにうんざりするほどレベルの低いバカなコメントが多くて、しんかい氏が更新停止しちゃった気持ちもわかるような。(本当の理由なんか知りませんが)
Posted by ryu at 2005年11月13日 17:13
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