2005年01月03日

Sex, Love and Rock'n'Roll by Social Distortion

Sex Love and Rock N Roll

演歌パンク。今私が勝手に名付けただけだが、ソーシャル・ディストーションの音にはそんな表現が似合う。
カリフォルニア州オレンジ・カウンティは90年代前半ぐらいに、新世代のバンドが次々に登場してくる地として注目されたが、それ以前からパンクバンドの名産地だった。1978年結成、83年にアルバムデビューしたソーシャル・ディストーションはその中でも古株のひとつ。バンドとしては96年以来長らく活動休止状態で、フロントマンのマイク・ネスがソロアルバムを出してからももう5年が経っている。

カリフォルニアのパンク・バンドの特徴は、パンクというスタイルにこだわらずに他にカッコいいと思うものがあればそれをどんどん取り込んでしまうところだろう。サブライムや311、シュガー・レイといったスカ・パンク、あるいはそもそも分類が難しい音を出すバンドが次々に出て来たのもその土壌のおかげだろう。

そんな中でソーシャル・ディストーションが影響を受けたのはカントリーとロカビリー。カントリーと言っても今のチャートに登場するようなポップ・カントリーではなく、もっとドスの効いたアウトローっぽいやつ。やっぱジョニー・キャッシュは彼らのヒーローだろう。マイク・ネスのソロアルバムでそのルーツがはっきりと示され、それを経たバンドとしての最初の作品が本作である。

すべての曲は、アコギ一本で歌い直してもサマになるだろう。それだけメロディがしっかりしている。革ジャンをびしっと着て、髪をオールバックでぴっちりと固めたマイク・ネスが、ドラ声を張り上げて演歌的な哀愁のメロディを歌う。ある種の様式美の世界。何も新しくなく、以前の作品と何が違うでもない。それでもこの声と、ちょっと荒っぽいこの疾走感のあるロックが聴ければいい。そういうファンのためのアルバムだ。「何か」がなければ評価するわけにはいかない評論家には、従って、決して取り上げられることはないだろう。
そんな事には目もくれず、ルックスにしても音にしても、ただカッコいいことを追求し続けるマイク・ネス。長年のドラッグ癖を克服した彼の思いが、アルバムタイトルを「Sex, Drugs and Rock 'n' Roll」という馴染みのある言葉ではなく、「Sex, Love and Rock 'n' Roll」にさせた。不器用だけど、一途でまっすぐな男のカッコいいロック。10曲で38分という、物足りないぐらいのボリュームで、ちょうどいい。
posted by しんかい at 01:10| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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