2005年01月02日

Kamikaze by Twista

Kamikaze

まったく隔世の感がある。ドゥ・オア・ダイにフィーチャーされた「Po Pimp」という曲でトップ40にちょこっと顔を出し、「どうやらギネス認定の世界一の早口ラッパーらしい」という噂だけが伝わってくるアングラな存在だったトゥイスタ。ルックスにもスター性はなく、彼がジェイZ、デーモン・ダッシュらRoc-A-Fella勢からラヴコールを受けているというニュースを聞いた時も、今度こそ売れるかと感じさせはしたものの、まさかこんなブレイクは誰も予想していなかっただろう。

実際にはRoc-A-Fella移籍はならず、Atlanticからの登場となったが、とにかく大ブレイク寸前のカニエ・ウエストと組めたのが良かった。ほとんどの一般人が初めてトゥイスタに接したであろう「Slow Jamz」の構成も素晴らしかった。第一ヴァースをカニエに任せた後、女とカニエが寸劇で「もっと早くやってよ」「これ以上早くできないよ」というやりとりをして、その直後に割り込んでくるトゥイスタの速射砲。あ、これが例のギネスの奴か、とみんなの印象に残る、実に鮮烈なメジャーデビューだった。
カニエ・ウエスト製作の「Slow Jamz」「Overnight Celebrity」、更にはR.ケリー製作の「So Sexy」とシングルカットして、シカゴ人脈をフル活用しつつ、雑誌に「今シカゴが熱い!」なんて特集を組ませたりもした。
しかし実はアルバムの半分近くを手がけているのはトキシックという奴であり、アルバム全体のカラーを特徴づけているのはこの人物である。これが、実はなかなかキレる。元グッディ・モブのシーローを迎え、アウトキャスト所有のアトランタのスタジオで録音された「Hope」。柔らかく温かいトラックに乗せ、ゴスペルのようなコーラスが、何とも言えない心地よさを醸し出す。この幸せ感はなかなかヒップホップ系の奴に出せるものではない。アリーヤ、ジャム・マスター・ジェイら故人に捧げられているというところもしんみりさせるし、R.ケリーのプチ・パクリっぽい「I Wish」というコーラスも何だかいい感じだ。

現在アトランタを拠点にするトゥ・ショートとエイトボール&MJGを迎え、南部のブルージーな泥臭さを漂わせる「Pimp On」や、デス・ロウ出身のダニー・ボーイを迎えてウエストコースト風のぴーひょろしたシンセを絡ませてレイドバックした「Snoopin'」(これってスヌープ・ドッグのことなのか?)など、いちいち質が高い。色んな有名プロデューサーをとっかえひっかえ使ったゴージャスな作品にしたかった気持ちはわかるが、トキシックとがっちり組んだ作品にしていれば、全盛期のダンジョン・ファミリー関連作品に通じるような、かなりいい仕上がりになったのではないかと思わせる。ま、それじゃ売れなかっただろうけどね。
次作は間違いなく今回のようには売れないだろうが、そういう意味ではまたインディ落ちして、地元の、付き合いの長い連中と地に足のついた作品を出してくれることを期待したい。
posted by しんかい at 23:54| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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