2004年12月31日

Hopes And Fears by Keane

Hopes And Fears

キーン。アルバムを聴いて、これは自分にとっての年間ベスト作品になるだろうと直感した。トラヴィスの「The Man Who」とコールドプレイの「Parachutes」をそれぞれの年の年間上位に選んできた私にとって、これほどツボを突いた作品は今年他になかった。
瑞々しいピアノ・ロック。ボーカル+ピアノ+ドラムという大胆な編成のトリオ。ピアニストがベースは兼ねるが、ギタリストはいない。ギター+ドラムという究極の最小編成をホワイト・ストライプスが示して見せていることもあり、驚くほどのことではないのだが、「トリオなのにボーカルが歌うだけ」というのはロック史上けっこう画期的なことではないだろうか。歴代数々のロック・トリオの大半は、フロントマンがボーカルをとりつつベースまたはギターを弾いていたはずだ。
しかし、それにより彼らの音楽の表現範囲が狭まったり、音に違和感があったり、ということはまったくない。とくに「This Is The Last Time」「Bend And Break」「Everybody's Changing」「Can't Stop Now」といったアップテンポの曲での水が流れるように流麗で、透明感のある音は見事だ。よく伸びるボーカルの声も、アップテンポの曲のほうが活き活きしている。そして、何よりもメロディの良さ。今年出て来たバンドでソングライティング能力はNo.1だろう。すべての曲が印象的なフックのメロディを持ち、その完成度の高さ故にすーっと耳に自然に入ってくる。シングルヒットしている「Somewhere Only We Know」もいい曲だけどアルバム中でいちばんいい曲というわけでもないし、「Bedshaped」のコールドプレイ的なドラマチックな盛り上がりは、どちらかというとアルバムでは異色だ。彼らの瑞々しくきらめくようなセンスは、先に並べたアップテンポの曲群で確認されたい。

トラヴィスの例を見るまでもなく、残念ながらこういうバンドは、次作以降はセルフ・パロディに陥り、面白みを失っていきがちである。これだけ素晴らしい作品を残してくれただけでも感謝すべきだが、願わくばもう1枚か2枚ぐらい、長く聴き続けるに値する作品を出してくれるといいな。
素直すぎるのでNMEではあまり受けはよくないが、Qでは堂々年間2位に選出されている。
posted by しんかい at 22:56| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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