2004年12月30日

Only You by Harry Connick, Jr.

Only You

世相がそうさせるのか、あるいはロッド・スチュワートの商業的な大成功がレコード会社の担当者を駆り立てるのか、最近カバー集が多い気がする。
そんな中、ロッドと選曲や企画がいちばんバッティングしそうなのが、このハリー・コニックJr.の作品だった。昨年のクリスマスシーズンに「Harry For The Holidays」が久々にヒットしてちょっと昇り調子だっただけに、本作はチャート上では彼の15年を越えるキャリアで最大のヒット作となった(5位)。

もちろんハリーの場合、これはロッドの真似でも何でもない。たとえば92年の「25」や01年の「30」はジャズ・スタンダードを中心とするカバー集だし、彼のようなジャズ系のシンガーがスタンダード・ナンバーを歌うのは、ロック/ポップス系の人に比べるときわめて自然なことだ。関係ないがこのジャケのハリーはエディ・ヴェダー(パール・ジャム)に似てないか?

オーケストラの指揮からアレンジまで全面的にハリー自身がてがけた本作は、雰囲気的にはいつものハリーの小洒落た雰囲気だ。全編に演奏はかなり控えめで、重厚感はあまりないが、その分ハリーの存在が、近く感じられる。コンサートホールよりはレストランやバーで聴いているような雰囲気だ。ニューオーリンズの大先輩、アラン・トゥーサン作品「All These Things」なんていい雰囲気すぎて、聴いてて意味もなくひとりで照れてみたりなんかして。かつては音楽バカで、音楽を女の子を口説く道具に使うなんてけしからん、なんて思ってたりもした自分が、今はそういうのもアリだよなあ、とか思ってみたり。
そういう文脈で聴くと、ハリーが“近く”に聴こえるこの作品はけっこうヤバい。この“近さ”で「only you can make this world seem right / only you can make the darkness bright / only you and you alone / can thrill me like you do / and fill my heart with love for only you」なんて歌われてしまって、世の女性は平常心で居られるだろうか。
イヤらしさは全然なく、ごく自然に、真摯に歌うハリー。だからこそ漂う爽やかな色気。スタンダード・ナンバーを歌っても枯れた雰囲気にならず、かと言ってこういう歌が似合わないほどに青臭いわけでもない。まだオヤジとして老け込むにはちょっと早い37歳のハリーが、見事に年齢相応の熟れ具合を見せてくれた。
マイケル・ブーブレやジェイミー・カラムなどジャズ系のシンガーにも若手が出て来ているが、これで巧く彼らとの棲み分けもできたし、当分は彼の天下だろう。全米ジャズ・チャート年間No.1おめでとう。
posted by しんかい at 23:59| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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