2004年11月30日

チェチェンで何が起こっているのか 林克明/大富亮 著

Chechen De Naniga

チェチェン紛争というのは、どうもよくわからない。
ロシアでは、血なまぐさい大規模な事件が相次いでいる。
劇場占拠事件。武力解決で、ロシア人の民間人に大量の犠牲が出た。これは、はっきりチェチェン・ゲリラの犯行だったようだ。
2月モスクワの地下鉄爆破事件
8月にモスクワ発の旅客機2機が、ほぼ同時に墜落した事件
9月の学校占拠事件
これらに比べると比較的地味に報じられたが、5月にはチェチェンの隣のイングーシで警察署襲撃事件が起き、100人近くが亡くなっている。
たくさんの人が亡くなったが、誰が犯人なのかいまいちわからない。もちろん、チェチェンの武装勢力がらみだと言われてはいるけど、それをすんなり鵜呑みにするほど我々もウブではない。

一体何が起きているのか。
ずばり解決してくれそうなタイトルの本を本屋で見つけたので、手に取ってみた。非常に平易に、チェチェンの様子がわかった。良書である。学術的に云々ではなく、現地での人と人との触れ合いを描き、彼らから得た情報や、学んだことが述べられる。そして何より、ジャーナリストである筆者が自らチェチェン取材を試みるが、それがいかに困難であるかを記すことで、なぜ我々にチェチェンの情報が充分に伝わってこないのかが浮き彫りになる。徹底した情報統制が行われているのだ。

日本に暮らしていると、どんな情報でもインターネットで手に入る世の中になってしまった、なんて考えがちである。しかし、世界にはまだまだインターネット普及率1%未満の国がいくらでもある。
インターネットは基本的に「電話線」があることが前提である。それがない地域には、いくらパソコンを送り込んでも無力である。
パソコンを贈ってくれるのは有り難い。でもその前に、学校に電気と電話を通して欲しい。そう訴える学校は、途上国の非・都市部では珍しいことではない。
前にこのblogで書いたが、先般、アフガニスタンの人と話した時に、彼は「皆さんの議論はたいへん結構で、勉強になるが、我が国はまずインフラの復旧が第一である」と言っていた。チェチェンは、同じか、もっと酷い状況なのだろうと思う。
そうなると、その地域と他の地域での情報の流れは、人間によってのみ伝えられることになる。ロシアは、チェチェンとの国境警備を厳しくし、ジャーナリストはおろか、国際機関の人道支援目的の入国でさえ認めていないらしい。だから、チェチェンの惨状は伝わってこない。たまに漏れ伝わってくるのは、ウラの手を使って命からがらに潜入したジャーナリスト、或はチェチェンから出て来た人。どうしても「個人」が「ウラで」隠し撮りのように持ち出してきた写真。だから、報道機関はそれらをニュースソースとして大々的に扱うことはないし、国際社会の注目度も低い。はっきりと事実が記録された写真よりも、プーチン大統領が「チェチェン人が怪しい。根拠はないけど」と言ったほうがよほど国際的に広く報じられ、それが信じられてしまうのだ。

チェチェン問題そのものについてはまだ、もう何冊か本を読んで勉強してから触れることにしたい。とりあえず入門版としていい本だと思うので、ご紹介しておく。
posted by しんかい at 01:15| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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