2005年01月31日

Think On Your Feet by Jaimeson

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2ステップって大好きだった。あの、洗練されたスマートな感じがいかにもヨーロッパ的で、アートフル・ドジャーもクレイグ・デイヴィッドも本当によく聴いた。流行がガラージっぽい方向に進むと、2ステップは物足りないぐらいにあっさりその姿を消していく。アートフル・ドジャーは実質的に解散、クレイグ・デイヴィッドはセカンドアルバムで自ら違う路線に進んだ。

久しぶりにその気持ち良さを再び経験させてくれたのが、UKのプロデューサー、ジェイマソン。「True」(4位)「Complete」(4位)「Take Control」(16位)と続いたシングルヒットはどれも外れなし。これら3曲に加えて、間違いなくアルバムのハイライトとなる「Selecta」が連なるアルバム導入部のかっこよさは圧巻だ。
冒頭から3曲アップが続いて、4曲目でちょっとゆったりしたイントロが流れるのでこの辺で一休みかと油断すると、40秒経ったところで一転して今まででいちばん速い超ハイパーな高速ビート!くー気持ちいい!
しかし次の曲からは本当にスローな曲が登場したりして、だんだんダレてくる。アップの曲ももちろん登場するが全体的に冒頭の質には及ばず、聴けるのは「Thinking Of You」「Better You Know」ぐらいか。
まあ、もともとこの手の人達はアルバムではなくシングル勝負の世界なので、こういう構成になってしまうのも仕方のないところだろう。アルバム全体として高く評価することはできないが、何曲かは03年から04年にかけて最もカッコいい曲だったとは言える。

HMVだかタワレコだかのフリーペーパーではディジー・ラスカルと共に何とかという新ジャンル名の下に一緒に紹介されていたが、ディジー・ラスカルはソー・ソリッド・クルーなんかのガラージ系やエレクトロニカ系からの影響が強く、猥雑な感じがするのに対し、こちらのジェイマソンはあくまでも洗練されてスマートで、やっぱり2ステップからの影響が強い。別モノだと思う。
posted by しんかい at 01:09| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Van Lear Rose by Loretta Lynn

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御年70の婆さんの復活作である。
70。ほんとか?というのが、実際に聴いて誰もがまず思うことだろう。この、張りのある声。どう聴いてもこの声の向こう側にしわしわの婆さんの姿は想像できない。いや、しわしわじゃないのかもしれないけど。

1935年に炭坑夫の娘として生まれた。1949年に結婚。その時、彼女は僅か13歳だった。普通の主婦として4人の子供を育て、やがて彼女はギターを持ち、ローカル・クラブでのパフォーマンスを始める。インディでのレコード契約を手にしたのは1960年。
デッカとの契約を手にし、60年代前半にホンキートンク・シンガーとして数々のヒットを放つ。60年代後半になると、それまでカントリーの世界で聴かれることのなかったフェミニスト的な視点から歌詞を書くようになった。70年代にはコンウェイ・トゥイティとコンビを組んで幾多のヒットを放ち、1980年には彼女の自伝が映画化された。ここまでが、彼女のアーティストとしての、いわば現役時代。1982年に最後のカントリーチャートでのトップ10ヒットを放ち、以後はヒットから遠ざかった。
93年にドリー・パートン、タミー・ワイネットと組んで「Honky Tonk Angels」としてレコーディングしたり、2000年にもアルバムを出していた。しかし、それほど大きな話題になることはなかった。
だから、前作から5年ぶりの作品なのに、大げさに本作がカムバック作だと騒がれたのは、単に期間の問題ではない。彼女が存在感を取り戻したという意味での、第一線への復帰作なのだ。

ホワイト・ストライプスがロレッタ・リンの「Rated X」をカバーした。それを知ったロレッタは自宅にホワイト・ストライプスの二人を招き、ジャック・ホワイトをプロデューサーに迎えて新作を作ることに同意した。だからと言ってジャックに主導権を奪われてしまっているわけではない。1曲を除いてすべてロレッタ自身の書き下ろしの新曲。音も、基本的にはトラディショナルなカントリーだ。しかし随所で、非常にロック的な、荒々しいぐらいにイキのいい演奏が聴かれる。この辺でジャックが本領発揮している。この関係は、ジョニー・キャッシュの復活にリック・ルービンが一役買ったのに非常に似ている。
若く、才能があって、しかも曲者のジャック・ホワイトと真っ向から取り組み、まったく負けていない70歳の婆さん。
なんだか悔しいぐらいに「アメリカの底力」を見せられているような気分になる。いやぁ、これは、凄い。
posted by しんかい at 00:28| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月23日

Do I Speak For The World by Gerald Levert

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日本で、というかR&Bマーケット以外では誰も話題にしないんだけど、コンスタントに活動し、R&B界では毎回しっかり売れる人。ルーサー・ヴァンドロスなんかもそんなところは多少あるが、その人気格差は、この人ほど酷くはなかろう。
ジェラルド・レヴァート。

80年代から活動するR&Bシンガー。紛れもない実力派シンガーだが、その「もっさり感」がよくないのか、日本ではまったく誰からも相手にされない。R&Bってのはやっぱりどこかオシャレだったりエロだったり、セックス・アピールがモノを言う。残酷なようだが、男の色気ムンムンだったテディ・ペンダーグラスが交通事故で下半身不随になった途端に急に魅力が無くなってしまったのは、R&Bというのがそういう音楽だからだと思う。
そういう意味ではジェラルド・レヴァートの存在というのは微妙である。世の中色々好みがあるにせよ、熊系の顔も、丸い体型も、決してかっこよくはない。これまでのジャケ写を見ればわかる通り、それは本人も充分に認識していて、変にかっこつけようとはしていない。
音楽的にも、彼の音楽は決して流行の音ではない。一応その時々でそれっぽいものを取り入れてはいるが、彼の音がその流行の中心に位置づくことはない。その中途半端なところがまた、日本で彼の人気が出ない理由だった。しかし今回はまったく流行を追いかけていない。基本。これでハズシようがない。

今回はインタールードを随所にはさんでアルバムの一体感が高まった。ミディアム〜スローが多いのはいつも通りの構成。
それにしても、なんでこれが売れないんだろう!というぐらい、質が高い。すべての曲が平均点以上の出来だ。実は彼の作品は94年の「Groove On」以来6作連続でR&Bチャートで最高位2位が続いていたのだが、前作「Stroke Of Genius」がそれを打ち破って1位になった。にも関わらず今回は7位。ちょっとまずい。しかし、質は決して落ちていない。80年代の、「ブラック・コンテンポラリー」と呼んでいた頃の曲のような「Better To Talk It Out」の美メロコーラス。「Lay You Down」のゴージャスでスケールの大きいサウンド。この極上のメロディもボーカルも、すべては女と寝ることを懇願してるだけ。いや、これでいいのだ。これがR&Bの世界。70年代ソウルのようにコブシを効かせまくって「お前に子供ができたって気にしないぜ、お前が欲しいんだ」と熱唱する「So What (If You Got A Baby)」。やっぱR.ケリーなんかとはシンガーとしては格が違うと思い知らされる。「未婚の母」が当たり前の社会なので言ってる内容は全然日本人の感覚と違うので意味わかんないかもしれないけど。

正直なところぱっとしない作品も多い彼だが、今回のは、はっきり、いいアルバムだと言い切れる。これは聴く価値あり。
posted by しんかい at 22:57| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Bebel Gilberto by Bebel Gilberto

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私はどうも昔からオシャレな音楽が苦手だった。
苦手と言うよりは、偏見を持っていたというほうが近いだろう。
洋楽の聴き始めがロックで、その後ラップにはまり、トゥ・ショートだのゲットー・ボーイズだのスリー・シックス・マフィアなんてのをフェイバリットに挙げるような人間としては、まあ当たり前の反応とも言えるだろう。
しかし最近それがどんどん無くなっていってるのが自分で実感できる。
仕事でアジアの人々と接し、現地に頻繁に足を運ぶようになて、アジアの文化に対する偏見がなくなった。回り道だが、そこを経由してから、日本の音楽にも最近は普通の接している。
ワールドミュージックでもレゲエの類、アイリッシュやフレンチ、スペイン語圏のラテンやアフリカなんてのは昔からそれなりに興味をもって接してきたし、これで全ジャンル制覇か。
と思ったが、まだひとつ、まったく手つかずの領域があった。ボサノバである。

どうもボサノバ=J-WAVEで昼間かかってるオシャレなBGM、というイメージができてしまっていた。音楽が好きだから音楽を聴く人ではなく、オシャレで音楽を聴く人が聴くもの、という偏見をもっていた。

ベベウ・ジルベルト。ジョアン・ジルベルトの娘。この4年ぶりのアルバムは、英米の作品を中心にセレクトしているようなところでも、2004年のベストアルバムの1枚にリストアップしてたりするように、非常に世間の評価が高い。
こりゃ、ボサノバの世界の入り口としてちょうどいいじゃん。と思って聴いてみた。
すぐそこで歌っているかのような息づかいが伝わってくるベベウの温もりのあるボーカル。素材を活かすための最低限の味付けに留められた演奏。ゆっくりと時間が流れる、リラックスした空気。とても心地いい。だがやっぱりJ-WAVEで流れてそうだという印象自体はあまり変わらない。聴くシチュエーション次第ではもうちょい印象良くなるんだろうけど、やっぱ今のところこれは私が好き好んで自ら聴くものではなさそうだ。
posted by しんかい at 20:51| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月11日

続・Best British Song

昨日のネタなんだが、どうもおかしいことに気づいた。
Brit Awards25周年ということで過去25年のベスト・ソング... という主旨のはずだったが、ノミネート曲のうち、いちばんチャートインが古い曲はこれら3曲。

I Don't Want To Talk About It / Rod Stewart : Apr 1977 (#1)
Heroes / David Bowie : Oct 1977 (#24)
We Are The Champions / Queen : Oct 1977 (#2)

逆にいちばん新しいのは

Dry Your Eyes / The Streets : Jul 2004 (#1)

ということで1977年から2004年が対象になっている。全然25年ではない。28年である。なんなんだ28年。いったい何の根拠があるんだ。グラミー賞ならまだしも、イギリス人がこんなテキトーなことやるか?ロッド、ボウイ、クイーンのほか、ケイト・ブッシュも78年2月なので、もし本当に「今から25年前まで」で厳密に区切ってしまうとこれも、78年4月のビージーズもアウト。さすがにこれだけオイシイ対象曲がごっそり選考対象外になってしまうのは惜しかった、とかいう単純な理由なのだろうか。

既にBrit Awards公式サイトでは一般人による一次選考投票の受付が始まっているのだが、このまま突っ走ってしまうのか。ちなみにイギリス人じゃなくても(ちょっとした登録作業は必要だが)投票できるので、ぜひ参加しておきましょう。一人5曲まで投票できます。私はもう済ませました。
posted by しんかい at 02:40| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 洋楽ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月10日

Stefanie by 孫燕姿 (Sun Yan Zi)

Stefanie

ここをお読みの方ならご承知の通り、私は洋楽についてはそれなりに聴き込んでいるわけだが、日本を含め、英語圏以外の音楽には疎い。別に興味がないわけではないが、すべて追いかけるには時間も金も足りないので、いちばん興味のある分野だけを追うことにしていた。
この1年半ほどで何度アジアに渡航したかわからないが、なぜか今回シンガポールに渡って初めて「現地モノ」を買おうという気になった。たぶん、何度もアジアの文化に触れるうちに、アジアの音楽に対する「俺が聴くものではない」感が薄れた結果なのだろう。
とは言え誰がスターなのか、何が売れてるのかさっぱりわからない。ただ、まったくの素人でもないので、CDショップのどこを見ればそれがわかるかぐらいは知っている。ということでシンガポールのタワレコで仕入れてきたのがこれ。
台湾を拠点に活動しているようだが、シンガポール出身の孫燕姿Sun Yan-Zi。78年生まれ、大学を卒業して2000年にデビューだがもうベスト盤を含めて8枚もアルバムを出している。このハイペースはさすがアジアだ。台湾を筆頭にアジア諸国では何十万枚もCDを売って1位とりまくりらしい。が、日本発売はされていないらしい。おお、こりゃちょうどいい物を買ったな。

で、後から知った更に嬉しいことは、この子、今回私がシンガポールに行った際に現地で大変お世話になったNanyang Technological University(ナンヤン工科大学/中国表記だと南洋理工大学?)の出身らしいのだ。これで一気に親近感倍増。
音的にはおとなしめのシンガーソングライター系ポップスだが、とても洗練されていて、私が日頃聴いている欧米の音楽と比べて違和感は全然ない。むしろこのアコースティックな透明感は、北欧系あたりに通じるものさえ感じる。本人が何曲か作曲しているのも含めて曲のクオリティは安定している。北京語は人々が普通に話しているのを聴くとけっこう“強い”言葉に聴こえるが、こんなに柔らかく聴こえるのか、というぐらいソフトなのもいい意味で意外だった。歌詞カード見てるとなーんとなく意味がわかるしね。
と、色々発見の多かったCD。これを機に私もアジアンポップス進出か?

日本の孫燕姿ファンサイト
もういっこ
この辺で買うのが現実的か?(日本語の中国CD通販ショップ)
amazon.co.jp, hmv.co.jpではSun Yan Zi, Stefanie Sun, Yan Zi等で検索してもヒットせず。towerrecords.co.jpではYan-Ziでヒット。しかし高い!いったいこりゃ現地価格の何倍だ。やっぱり上の中国CD専門店とかで買うほうが良さそう。
posted by しんかい at 03:49| 東京 ☀| Comment(41) | TrackBack(7) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Best British Song

英国の音楽賞ブリット・アウォーズが今年25周年ということで、過去25年間のベストソングを選ぶという暴挙とも言える部門を設立するらしい。
25曲がノミネートされていて、今月末のファン投票で5曲に絞り込み、2月10日の授賞式で最終的に1曲にBest British Song賞が与えられる。→公式サイト
その25曲のリスト。

Heroes / David Bowie
We Are The Champions / Queen
Wuthering Heights / Kate Bush
Night Fever / Bee Gees
London Calling / The Clash
Love Will Tear Us Apart / Joy Division
That's Entertainment / The Jam
I Don't Want To Talk About It / Rod Stewart
The Look Of Love / ABC
Golden Brown / The Stranglers
True / Spandau Ballet
Careless Whisper / George Michael
Holding Back The Years / Simply Red
Sledgehammer / Peter Gabriel
Sacrifice / Elton John
Unfinished Sympathy / Massive Attack
Why / Annie Lennox
Fields of Gold / Sting
Kiss From A Rose / Seal
Wonderwall / Oasis
Angels / Robbie Williams
Yellow / Coldplay
Babylon / David Gray
Leave Right Now / Will Young
Dry Your Eyes / The Streets

実に興味深い選曲だ。ぜったいこれよりもっといい曲があるだろ、というツッコミも満載だが、ストラングラーズとかABCとかマッシヴ・アタックとかが選ばれてるあたりはやっぱりイギリスだなーと思う。どうも80年代初頭がすっぽり抜けてる感じがするのが納得いかないが、「True」とか「Careless Whispeer」みたいな超ベタなやつからジョイ・ディヴィジョンとかストリーツまで幅広く選んでる姿勢には好感が持てる。
個人的には、リストアップされてていちばん嬉しかったのはウィル・ヤング。名曲だと騒いでるのは周囲で自分だけだったんだけどこれでちょっと自信。いちばん取ってくれたら嬉しいのは「嵐が丘 / Wuthering Heights」かな。でも実際のところは「Angels」でしょう。

そういえば昨年のBrit Awards授賞式の夜は、ちょうどロンドンに居たんだなー。としばし感慨に浸る。
posted by しんかい at 02:17| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 洋楽ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

S.W.A.T.

SWAT

去年いつだったか、飛行機の中で観たはずだったんだけど、さっきWOWOWで観たらぜーんぜん覚えてなかった。何だかなー。
基本的には典型的なポリスアクション物。署内でも上層部から冷たく扱われてるアウトローな連中のチームが大活躍したりとか、内部に裏切り者がいるとか、悪役は中南米系だったり、ミッシェル・ロドリゲスがいつもの役だったり、ひとつも観る方の予想を裏切らない。
webで見てもほとんどの人が同じことを言っている。普通すぎる。ありきたり。内容薄い。ラストの対決シーンがしょぼい(というか暗くて見えない)。

何と言っても宣伝文句であったはずの「逮捕された犯人が、テレビに向かって『俺を救出してくれたら1億ドル払うぞ!』と言ったので380万人のLA市民が暴徒となって...」というCMの裏切りがイタい。確かに警察の車両を市民というかギャングが襲撃するシーンがあることはあるが、ものの数分でショボく逮捕されて終わりで、主人公たちはそのウラをかいて何の被害も受けない。
たぶん小型ジェットが橋の上に着陸するシーンとかは製作側としてはハイライトシーンのつもりなんだろうが、技術的に難しいことを「すげえだろ」と見せつけられても、こっちはねえ。こういう娯楽アクション映画は、もっと見た目の派手さを求めてるわけで。たとえばこっちは「ザ・コア」で、河川敷にスペースシャトルを着陸させる、なんてシーンを見ちゃってるわけで。

これだけ色々出てると、LLクールJの出演を音楽ファンとして楽しめるというわけでもないし。というか彼は全体的に存在感が薄く、腹筋を自慢するシーンのためだけに出演したのではないかと思われ(笑)。
まーそんなわけでまさに飛行機の中の暇つぶし映画でしょう。しかしいくらワイン飲んでたとは言え、ここまで覚えてないもんかなあ。
posted by しんかい at 01:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ロード・オブ・ザ・リングス 3部作 / Lord Of The Rings Trilogy

Lord Of The Rings Return of the King

超大作「ロード・オブ・ザ・リング」。レビューするにもそれなりの覚悟がいるのだが、軽く流すことにする。
WOWOWで正月に「王の帰還」が放送され、とりあえず3作とも2回以上は観た。
やっぱりこの映像は圧巻だ。「撮影」することが不可能なカメラワークをCGによって実現し、雄大な自然の中に様々な生き物が蠢くファンタジーの世界を見事に創り出した。しかしよく言われるように、これにいかに肩入れできるかは、原作の「指輪物語」を読んでいるかどうかに、かなり左右されると思う。
「指輪物語」は文庫本にして9巻というボリュームで、素人には非常に壁が高い。おそらくそれ故に、これを読破し、この世界に浸っているファンは一種の優越感をもって、「素人たち」と自分の間に、無意識にせよ、壁を設ける。

Yubiwa Monogatari

私はもちろん読んでないので、単純に10時間近い映像だけから感想を言う。
圧倒的な映像美と、スケールの大きさは素晴らしい。
話の筋は結局わかったようなわからないような。
サムを筆頭に、各登場人物の活躍ぶりは清々しい。主人公らしきフロド様とかいうヘタレを除いて。
もうとにかく、主人公に肩入れできない。この映画の居心地の悪さはそれに尽きる。いつも陰気な顔をしてひーひー悲鳴をあげて自力で何もできないヘタレを、いったいどうやって応援できようか。こんな奴に全人類(それ以上)の運命を託した周囲の連中の気持ちも理解できないし、私はちっともこの世界に入り込めない。
映像がいかに迫力があっても、私はその世界の中にはいない。スクリーンのこっち側に座って、あっち側で起きてることを眺めているだけだ。だからディスカバリーチャンネルでも観ているようなものだ。
(なお、DVDのエクステンデッド・バージョンを観るともうちょっと事情がわかりやすいらしい)
その「凄さ」に圧倒される人は素直に高い評価を与えるし、最後まで疑問が抜けなかった人は、「凄さ」はそれはそれで認めつつ、やや煮え切らない評価を与える。
「指輪物語」を読んでいる人たちは、あの「世界」を知っている。だから、仮にピーター・ジャクソン監督が描いた世界が多少自分のイメージと違っていたとしても、敢えて個人的な解釈を加えないまま、あそこまで情熱を賭けて創られた映像には愛情を感じずにはいられない。故に高い評価につながる。

アカデミー賞大量受賞(主演/助演男優/女優賞をまったくとれていない点も含め)やこの圧倒的なボリュームなど、色んな意味で歴史に残る映画であることは間違いない。この作品にリアルタイムで接する事ができたことには、素直に感謝したい。
が、やっぱり私は「ロード・オブ・ザ・リング」と聞けばまずヘタレのフロド様にムカつく映画、というのが最初に出てくる印象だ。
posted by しんかい at 01:10| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月03日

「マイケル・ムーアへ 〜戦場から届いた107通の手紙」マイケル・ムーア編

To Michael Moore

マイケル・ムーアというのは微妙な存在である。何かこう、独りで政府や巨大企業の悪に立ち向かうヒーロー、みたいな感じで、アメリカには敵も味方も多いだろうし、日本には圧倒的に味方が多いだろう。
私も「華氏911」のような映画を作って多くの人を啓蒙する彼の役割には頭を下げているし、「ボウリング・フォー・コロンバイン」以前の作品は単純に社会派エンターテイメントとして、面白いから好きだ。
しかし、例えば対ブッシュの強硬姿勢にしても、実際には「なんでこれを指摘しないの?」といういちばんイタいところに触れてなかったり、どこか、あと一歩のところでツメが甘い気がしてならない。まあ、その「あと一歩」に踏み込まずにいるからこそ彼はキャリアを絶たれずにいるのだと言えば、そうなんだろうけど。

この本はマイケル・ムーアの名前が前面に出ているが、彼が書いている文章は最小限で、ムーアに実際に宛てられた手紙の文面が大半を占める。世の中にはムーアの作品に対する反論をつらつらと述べる「反ムーア本」なんてのも何冊も出ているが、これは違う。基本的にムーアに同調する人たちからの手紙(というかeメール)だ。

イラクに駐留する米軍兵士。その他世界各地の米軍兵士。退役軍人。そして、兵士を送り出している、残された家族。それぞれの、イラク戦争や今のアメリカに対する想いが語られる。
ほとんどの兵士たちは、当然、最初は自分の直系のボスである合衆国大統領を支持する。だから、ムーアなんてとんでもない小賢しい野郎だと思っている。しかし世間があんまり「コロンバイン」と「華氏911」のことで大騒ぎするし、何だか駐屯地にビデオが送られてきたので、とりあえずビデオを見てみた。それでブッシュ観が、アメリカ観が、人生観が覆された。という人が多い。それだけの衝撃を受けたからこそ、わざわざムーア宛にメールを出そうという気にもなるのだろう。

退役軍人の場合はやっぱり甘ったれた世間知らずの若造どもとはひと味違い、それぞれに味のあることを言う。彼らの章を読んでいると、さすがに胸が熱くなってくる。

自らムーアに対して話しかけ、この本にメールが収録された人々は、決してアメリカ人のマジョリティではない。米軍兵士のマジョリティでもない。この本を読んで、短絡的に「アメリカ人もみんなこう思っている」などと思ってはいけない。
しかし、少なくともムーアはこの本で、映画が人々の人生観に決定的な影響を与え、必要ならば行動を起こさせることができることを示した。ジャーナリストとしての、映画監督としての最高の栄誉だ。だから彼は、自分自身の言葉にはほんの10ページ程度しか割かれていないこの本をマイケル・ムーア名義で出したのだろう。
映画や音楽を愛する私のような者にとっても、この本は「世界を動かした映画」の記録として、忘れ得ぬものである。
同時に、たくさんの「感動」が込められたこの本を読んでセンチメンタリズムに流され、「とにかく戦争は全部悪」「ブッシュは悪」「兵士はかわいそう」「ムーアはすごい」と短絡的に考えてしまってはいけない。これは読者を感動させるためのフィクションではなく、事実の記録である。感動しただけで終わっていては世界は変わらない。これは、読者が自分の頭で何かを考えるための、きっかけであり、ネタでしかない。
posted by しんかい at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」モフセン・マフマルバフ著

Afghanistan

以前少し書いたが、マニラでの国際ワークショップで、アフガニスタンの人と話す機会があった。ITを使う教育に関する内容のワークショップだったのだが、その人にとっては「IT」なんて夢物語のようなものだった。それは言い過ぎにしても、少なくとも彼の国の現状では、まったく現実的な話ではない、という話しぶりだった。

正直なところ私が知るアフガニスタンというのは、80年代にソ連の侵攻を受けたことと、最近アメリカの攻撃を受けたことぐらい。10年に及ぶ内戦、とかいうキーワードを断片的に知っていても、その言葉が本当に意味することをわかっていなかった。
アフガニスタンに関する本を探してもエッセイ集的なものが多く、きちんと彼の国の実情がわかりそうなものがなかなか見つからなかったのだが、この本が面白そうだったので手に取った。

「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」というタイトルには、正直言って引く。しかし、この著者がイランの有名な映画監督で、隣国・イラン人としての立場で色々語っているのに興味をもった。

一般の日本人はアフガニスタンの実情なんて全然わからないのと同様に、イランのこともわかっていない。だから、イランという「安定した」「先進国」がアフガニスタンという「貧しい」国を見る、という視点がとても新鮮だった。山岳地帯が国土の多くを占めるアフガニスタンは天然資源も開発されておらず、産油国であるイランとは豊かさがまったく違う。農業にも適さない土地の住民たちは、従って、他に選択肢もなく、麻薬を栽培する。世界に流通するヘロインの8割が、そして世界のすべての麻薬のうち半分はアフガニスタン産らしい。それでもこの国の基幹産業は5億ドルの外貨しか稼ぎ出さない。麻薬自体は幾多の仲買人の手を経て、数百倍の価値を得て、世界へと流通していく。

そんな麻薬や、あるいは衛生状態の悪いアフガン難民が、自国に良からぬものを持ち込むことを嫌うイランにとって、アフガニスタン人は歓迎すべき存在ではなく、単に難民キャンプに押し込めておいた。
しかし反対側の隣国であるパキスタンは、アフガン難民を迎え入れ、彼らを教育した。教育を受けた者はアフガニスタンに帰国して、国を統治した。それがタリバンである。もともと部族社会であったアフガニスタンを統一したタリバンは、厳しい戒律で秩序を求めた。内戦に終止符を打ち、「安定」を国民に与える代わりに、ルールを守ることを求めたのだ。アメリカを筆頭とする「国際社会」は、これを「人権の抑圧」だと解釈した。ここからアフガン侵攻が始まる。もちろんオサマ・ビン・ラディンなんてのは口実に過ぎない。

この本はイランの映画監督モフセン・マフマルバフ氏の口述に近い雰囲気のレポートやスピーチなどを集めたもの。表現が非常に平易なので読みやすいが、内容はとても重い。「隣人」であるイランが、アフガニスタン難民をいかに迎えるべきか。彼の国にいかに接するべきか。タイトルが詩のようなので誤解を与えると思うが、統計的な数字を使いつつ、変に感情論に走ったりせずに冷静に語られているので安心して読める。
一緒にしてはいけないが、これは日本人がフィリピンや中国などからやってくる外国人労働者にいかに接するか、という立場にも少し似ていると感じた。そして、外国のことを学ぶたびに、いつも、もっと日本のことを知り、日本人としてのアイデンティティをしっかり持たなければいけないと、強く思わされる。

著者本人の言葉ではないのだが、引用されている言葉が鮮明に頭に残っている。スターリンの言葉。
「一人の死は悲劇だが、100万人の死は統計に過ぎない」
posted by しんかい at 03:24| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Sex, Love and Rock'n'Roll by Social Distortion

Sex Love and Rock N Roll

演歌パンク。今私が勝手に名付けただけだが、ソーシャル・ディストーションの音にはそんな表現が似合う。
カリフォルニア州オレンジ・カウンティは90年代前半ぐらいに、新世代のバンドが次々に登場してくる地として注目されたが、それ以前からパンクバンドの名産地だった。1978年結成、83年にアルバムデビューしたソーシャル・ディストーションはその中でも古株のひとつ。バンドとしては96年以来長らく活動休止状態で、フロントマンのマイク・ネスがソロアルバムを出してからももう5年が経っている。

カリフォルニアのパンク・バンドの特徴は、パンクというスタイルにこだわらずに他にカッコいいと思うものがあればそれをどんどん取り込んでしまうところだろう。サブライムや311、シュガー・レイといったスカ・パンク、あるいはそもそも分類が難しい音を出すバンドが次々に出て来たのもその土壌のおかげだろう。

そんな中でソーシャル・ディストーションが影響を受けたのはカントリーとロカビリー。カントリーと言っても今のチャートに登場するようなポップ・カントリーではなく、もっとドスの効いたアウトローっぽいやつ。やっぱジョニー・キャッシュは彼らのヒーローだろう。マイク・ネスのソロアルバムでそのルーツがはっきりと示され、それを経たバンドとしての最初の作品が本作である。

すべての曲は、アコギ一本で歌い直してもサマになるだろう。それだけメロディがしっかりしている。革ジャンをびしっと着て、髪をオールバックでぴっちりと固めたマイク・ネスが、ドラ声を張り上げて演歌的な哀愁のメロディを歌う。ある種の様式美の世界。何も新しくなく、以前の作品と何が違うでもない。それでもこの声と、ちょっと荒っぽいこの疾走感のあるロックが聴ければいい。そういうファンのためのアルバムだ。「何か」がなければ評価するわけにはいかない評論家には、従って、決して取り上げられることはないだろう。
そんな事には目もくれず、ルックスにしても音にしても、ただカッコいいことを追求し続けるマイク・ネス。長年のドラッグ癖を克服した彼の思いが、アルバムタイトルを「Sex, Drugs and Rock 'n' Roll」という馴染みのある言葉ではなく、「Sex, Love and Rock 'n' Roll」にさせた。不器用だけど、一途でまっすぐな男のカッコいいロック。10曲で38分という、物足りないぐらいのボリュームで、ちょうどいい。
posted by しんかい at 01:10| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月02日

Kamikaze by Twista

Kamikaze

まったく隔世の感がある。ドゥ・オア・ダイにフィーチャーされた「Po Pimp」という曲でトップ40にちょこっと顔を出し、「どうやらギネス認定の世界一の早口ラッパーらしい」という噂だけが伝わってくるアングラな存在だったトゥイスタ。ルックスにもスター性はなく、彼がジェイZ、デーモン・ダッシュらRoc-A-Fella勢からラヴコールを受けているというニュースを聞いた時も、今度こそ売れるかと感じさせはしたものの、まさかこんなブレイクは誰も予想していなかっただろう。

実際にはRoc-A-Fella移籍はならず、Atlanticからの登場となったが、とにかく大ブレイク寸前のカニエ・ウエストと組めたのが良かった。ほとんどの一般人が初めてトゥイスタに接したであろう「Slow Jamz」の構成も素晴らしかった。第一ヴァースをカニエに任せた後、女とカニエが寸劇で「もっと早くやってよ」「これ以上早くできないよ」というやりとりをして、その直後に割り込んでくるトゥイスタの速射砲。あ、これが例のギネスの奴か、とみんなの印象に残る、実に鮮烈なメジャーデビューだった。
カニエ・ウエスト製作の「Slow Jamz」「Overnight Celebrity」、更にはR.ケリー製作の「So Sexy」とシングルカットして、シカゴ人脈をフル活用しつつ、雑誌に「今シカゴが熱い!」なんて特集を組ませたりもした。
しかし実はアルバムの半分近くを手がけているのはトキシックという奴であり、アルバム全体のカラーを特徴づけているのはこの人物である。これが、実はなかなかキレる。元グッディ・モブのシーローを迎え、アウトキャスト所有のアトランタのスタジオで録音された「Hope」。柔らかく温かいトラックに乗せ、ゴスペルのようなコーラスが、何とも言えない心地よさを醸し出す。この幸せ感はなかなかヒップホップ系の奴に出せるものではない。アリーヤ、ジャム・マスター・ジェイら故人に捧げられているというところもしんみりさせるし、R.ケリーのプチ・パクリっぽい「I Wish」というコーラスも何だかいい感じだ。

現在アトランタを拠点にするトゥ・ショートとエイトボール&MJGを迎え、南部のブルージーな泥臭さを漂わせる「Pimp On」や、デス・ロウ出身のダニー・ボーイを迎えてウエストコースト風のぴーひょろしたシンセを絡ませてレイドバックした「Snoopin'」(これってスヌープ・ドッグのことなのか?)など、いちいち質が高い。色んな有名プロデューサーをとっかえひっかえ使ったゴージャスな作品にしたかった気持ちはわかるが、トキシックとがっちり組んだ作品にしていれば、全盛期のダンジョン・ファミリー関連作品に通じるような、かなりいい仕上がりになったのではないかと思わせる。ま、それじゃ売れなかっただろうけどね。
次作は間違いなく今回のようには売れないだろうが、そういう意味ではまたインディ落ちして、地元の、付き合いの長い連中と地に足のついた作品を出してくれることを期待したい。
posted by しんかい at 23:54| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月01日

スマトラ地震復興支援

amazon.comを通じて赤十字に寄付できるのを発見。
amazon.co.jpのサイトに入り口があるが、実態としては米国のamazonの仕組みを使ってるようで、amazon.comのアカウントを持ってないとダメ。しかし逆にアカウントを持ってると、「これでいいのか?」と不安になってしまうぐらい簡単に寄付ができる。行き先はちゃんと日本の赤十字の模様。
「寄付ぐらいしてもいいが、どうしたらいいかよくわからんし、めんどくさいのはいやだ」という人にはお薦めしておく。
posted by しんかい at 18:36| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | アジアネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

The Grey Album by DJ Danger Mouse (Jay-Z + The Beatles)

Grey Album

ネット上の音楽の世界で昨年いちばん話題になったのはこの作品だろう。
DJデンジャー・マウスの「The Grey Album」。
ジェイZの「The Black Album」と、ビートルズの「The Beatles」(通称ホワイト・アルバム)を勝手にリミックスした、いわばネット上のミックステープである。インターネットを、音楽など自分の芸術表現の場として、世界中のファンと直接コミュニケーションできるという特質を活かしつつ、活用しているアーティストは多い。彼らはまったくの自作曲を公開することももちろんあるし、まったく異なる複数の音源を組み合わせて新しい「曲」を作る、「マッシュアップ」と呼ばれる表現形態もポピュラーである。この「Grey Album」はまさにマッシュアップの典型的な作品だ。

ビートルズを使っていると言ってもけっこう凝った使い方がされており、一聴してすぐにカバーだと判るような単純な使い方はされていない。その完成度の高さが話題になる一方、やっぱり「ビートルズの音源」というところが別の意味で話題になった。EMIによるビートルズの音源の管理は厳しい。正規ルートのサンプリングにもなかなかOKは出さないわけで、ましてやこんな海賊音源なんて真っ先に取り締まりの対象だ。当初プロモ盤CDで流通したこの音源はすぐにEMIにより差し止められたが、既に音源はネット上に流通していた。

デジタルコンテンツが音楽ソフトの中に占める割合が高まるにつれ、著作権の考え方も変わって来ているが、まだまだ過渡期にある。サンプリングとは/著作権とは/改変権とは/芸術とは という根の深い話になってしまうのでここで深入りはしないが、とにかくEMIの“取締り”に真っ向から対抗する勢力も少なくなかった。彼らは「Grey Tuesday」というプロテスト活動を組織し、音楽メディアはもちろんNew York Timesなどのメジャー紙も巻き込んで論争となった。

そういう話題性もあるのだろう。Qでは2004年ベストアルバムの15位に、NMEなんか6位に、この正規発売されていないアルバムを選出している。

ところで、「Black Album」と「White Album」をかけあわせたと単純に言うが、実態としては「White Albumの音源をサンプリング源としてトラックを製作し、Black AlbumのジェイZのラップをのせたもの」である。その前提として、こんなものが存在する。「The Black Album Acappela」。日本のamazonでも普通に買える。私は米amazonで中古で安く出てるのを見つけて速攻ゲットしたのだが、別に貴重なものでもなさそうで少し残念。ラップのトラックだけじゃなくコーラスとかバックのかけ声とかも入ってるので、けっこう聴いると不気味な曲もある(←別に聴くものではない)。

Black Album Acappella

その名の通り「The Black Album」からボーカルトラックだけを抜き出したもので、これはどう考えても「聴く」ためのものではなく、素材として「使う」ためのものである。ジェイZは自らこんな素材を提供し、マッシュアップを推奨していた。「The Grey Album」及びその後を追って無数に登場した「Black Album」のマッシュアップ作品は、ジェイZが意図した通りの、必然の結果なのである。

で、「Grey Album」の中身はというと... やっぱプロの、今が旬のトラックメイカーたちの作品にはかなわないよね、ってことで「The Black Album」と出来を比較してはいけない。ひとつの試みとして面白いとは思うが、やっぱり聴いててカッコいいとはあまり思わなかった。
「Grey Album」の音源はここでダウンロードできます。
http://www.illegal-art.org/audio/grey.html
posted by しんかい at 02:30| 東京 ☔| Comment(6) | TrackBack(2) | 2004年ベスト作品選考シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
今年も一年よろしくお願い致します。
この1年半ほどは本当によく働いたので、今年はちょっと違うことを充実させたいですね。思うことは色々あるんだけどまだ整理できてません。遅いよ、という話もありますが、まあ徐々に考えていきましょう。
東京は今日も雪でした。

snow
posted by しんかい at 00:43| 東京 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | 思う事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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