2004年10月31日

Words & Music: John Mellencamp's Greatest Hits by John Mellencamp

Words & Music

ジョン・クーガー・メレンキャンプは、私の青春である。というのは前にもどこかで書いていると思うが。
1985年、高校1年生だった私がクラスの友人たちと一緒に行った初めてのコンサートが、ジョン・クーガー・メレンキャンプだった。もちろんそれは、彼のことが、別格と言っていいぐらい好きだったからだ。当時は1枚のアルバムを買うにも苦労する時代。わずか数時間のためにアルバム数枚分のお金が必要なコンサートは、やはり敷居が高い。
正直なところコンサートの内容自体はもうよく覚えていない。でも、あれから20年近く経った今でも、私はジョン・メレンキャンプが好きだし、彼の作品を買い続けている。これって、実はかなり凄いことかもしれない。
もちろん当時はアメリカらしいロックと言えば、ブルース・スプリングスティーンがその筆頭だった。まさに「Born In The USA」が大ヒット中だった彼は「ボス」と呼ばれ、貫禄があり、まさに親分としての威厳があった。その一方ジョン・クーガー・メレンキャンプは、もっと一匹狼的というか、少し裏びれた雰囲気があった。「Rain On The Scarecrow」という曲では借金で農場を手放さなくてはならなくなった主人公が、息子の為に土地を残してやれない苦しみを歌う。農民の立場に立って歌うロック。決してかっこいいものではないはずなんだけど、ヤケにかっこ良かった。レーガンの金持ち優遇策で苦しむ農民の支援のためにファーム・エイドというイベントを始めたりする彼の姿を見て、「社会」というものについて学び、考えた。ブルース・スプリングスティーンの「Bobby Jean」の歌詞に「We learned more from a three minute record than we've ever learned in school」という一節がある。実はこれって私にとっても、真実かもしれない。学校の社会科の教科書より、ロックを通じて見たほうが、よほどアメリカの社会というものをたくさん、深く知ることができた。私にそういう物の見方を教えてくれたのが、ジョン・クーガー・メレンキャンプだった。
当時私は農家に囲まれて、まさに農村に暮らしていたので、彼の歌詞はとてもわかりやすかった。もし私が当時都内に暮らしていたら、きっと、まったく違う接し方をしていたんだと思う。高校は、家のほうに比べれば少しだけ都会だったので、私は学校では「田舎者」だった。だからこそ、田舎者であることを、朗らかに、誇らしげに歌う「Small Town」は心に染みた。

名前を本名のジョン・メレンキャンプにし、だんだん存在感が地味になってきて、もう現役アーティストという感じはしなくなってしまった。そして、届けられた、キャリアを総括する2枚組ベスト盤。実に感慨深い。デビュー当初から21世紀まで25年のヒットを網羅。
80年代のヒットは今聴いても自然に歌詞が出てくる。あの頃は1枚CDを買ったら、たとえ好きになれなくても、意地でも何十回も聴いたもんなあ。ましてや大のお気に入りだった「Scarecrow」なんて何百回聴いたかわからない。
別に、あの頃の思いでが蘇ってくるとか、センチメンタルなことを言いたいわけではないし、実際のところ、そういうわけでもない。ただ、今聴いてもやっぱりいい曲だなあ、と。
「Pink Houses」や「Jackie Brown」といったアコースティックで素朴な曲も、彼の反抗的で一匹狼的な姿勢がポップな形で現れた「Authority Song」、田舎者賛歌の「Small Town」、5分半の曲のうち冒頭2分半がイントロのギターソロという大胆な「I Need A Lover」、むしろオヤジになってから洗練されてきて「Key West Intermezzo」みたいな曲をやったり、21世紀になってもちゃんといい曲を書いてる「Peaceful World」なんてのもあったり。新曲は2曲で、なんとベイビーフェイスのプロデュース。でも別に違和感のない仕上がり。そういえばベイビーフェイスってギタリストだしね。
初回はオマケDVDもついてきて、懐かしいビデオクリップが入っているが、なぜか5曲しか入っていないという中途半端なボリュームなのは不満。別売りしたいならそれはそれでいいから、ちゃんとしたビデオクリップ集を作って欲しい。

正直なところ、この人にいは思い入れがありすぎて、普通の人がこれを聴いて純粋に音楽的にどれほど楽しめるのかはよくわからない。しかし、世間一般では“超大物”というほどの存在感ではない彼が、全米チャートで本作を初登場13位に送りこんだ。やっぱりこの人に、特別の何かを感じている人は少なくないはずだ。
posted by しんかい at 22:02| 東京 🌁| Comment(5) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

タイの屋台図鑑

Thai Yatai Zukan

タイに行って以来タイ料理大好きな私であるが、やはりいくら興味があっても、言葉の通じないタイで、屋台に向かうというのはなかなか度胸が要る。そもそもどういう料理なのかがよくわかってない上に言葉も通じないのでは話にならない。せめて、自分の食いたいもののイメージがはっきりしているか、言葉が通じるか、どっちかがあればどうにかなるのだが。
タイ語を習得するのは一朝一夕にできることではなく、その気もあまりないという私にとって、この素晴らしい本の存在は感動的だった。

「タイの屋台図鑑」。
タイに関する雑学本は本当にたくさんある。しかしその大半は旅のエッセイといった感じで、読んでいて面白かったり、先輩のアドバイスとして役にたったりはするが、どうも、適当なものが多い気がしてならない。私だってあと何回かタイに行って、もうちょい時間さえあればあのぐらいの物は書けるよ、という気になる。
しかしこの本は私には何年かけても作れない。ただただ頭が下がる。
まさに図鑑なのだ。何百種類というタイ料理が写真入りで紹介される。しかもそれが、ぜんぶ庶民的な屋台料理なのだ。高級レストランの料理なんて一品たりとも登場しない。数十円から、せいぜい数百円で食える品々ばかり。実際に注文する時はこう言え、なんていうアドバイスもついていて、単なる写真の羅列に終わっているわけでもない。実はこの本を手に入れた後はまだタイに行っていないので実際に試したことはないのだが、次は屋台に行ってみよう!という妙な自信をつけさせてくれた。いざと言う時はこの本を見せて写真とその横のタイ語を指差せばいいんだし。
タイ料理の醍醐味は庶民の屋台だと信じるすべての人にお勧めしたい。
posted by しんかい at 18:47| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | アジアネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Ten Years Gone : The Best Of Everclear 1994-2004 by Everclear

Everclear

エヴァークリアというバンドは基本的には好きなバンドだ。いくつか、すごくいいと思う曲もあるし、全体的には好きな感じだ。しかしなぜかアルバムを聴いてると途中で飽きてしまう。全然いいと思えない曲も多く、アルバムによっては買った当時何度か聴いただけでずっとしまいこんだままだ。

「I Will Buy You A New Life」と「Father Of Mine」には、やられた。
「I Will〜」は新しい人生を買ってあげるよ、と男が女に呼びかける歌。と、これだけだと成金主義の単なるヤな奴なのだが、どうも曲を聴いていると、この主人公はやたら貧乏臭く、借金を返したりしている。ライバルの金持ち野郎も君の事を幸せな気分にさせるだろう、ほんの1、2分の間はね。でもこんな気分にさせることができるのは俺だけだろ、と歌いつつ、サビではまるで自分で夢を見るようにつぶやく。「庭を買ってあげるよ、君は花を育てるといい/新車を買ってあげるよ、ぴかぴかの新品で/あの丘の上の、でっかい家を買ってあげよう/君に新しい人生を買ってあげよう/きっと。いや本当に」

「Father〜」は自分を捨てて、つまり離婚して出て行った父親に対する愛憎入り交じる思いを綴った歌。このベスト盤の解説でも「この曲に感動したといってくれる人がいちばん多い曲」だとアート本人が言っている。離婚率の高いアメリカでは、特にそうなんだろう。
アートはこのバージョンが好きだといってラジオ・バージョンで入っているが、私はかなりハードな音使いのアルバムバージョンのほうが好き。

それからヴァン・モリスンの「Borwn Eyed Girl」のカバー。最初聴いた時はヴァン・モリスンを師と仰ぐ私もカバーだと確信できなかったぐらいにアレンジしていて(それは大げさか)、これがまた素晴らしい。ヴァンのバージョンはもっともっさりしていて、もともとロリコン疑惑のある彼の疑惑を高めてしまったが、このシャープでうるさいバージョンはエヴァクリらしく、曲のもともとの良さも活かされていてとてもいい。Smash Hitsにはこっちバージョンのカラオケがあったりして、自分で歌っても実に気持ちいい。

ほかにも「Wonderful」や「Learning How To Smile」とかも好きだし、「The Boys Are Back In Town」なんかのカバーのセンスも好きなんだけど、どうも全体には好きになれない曲も多い。こうやってベスト盤で聴くと比較的好きな曲が多いんじゃないかと思っていたのだが、やっぱりそうでもなかった。私にとってこういうバンドは珍しい。気に入るバンドは、だいたいアルバムのどの曲も平均以上には好きになるものだが、エヴァークリアだけは平均点以下がたくさんある。まあ別にそんなのはどうでもいいことなのだが、そういうこともあって気になるバンドなのだ。
このベスト盤は全米チャートでは180位台と惨敗してしまった。もうピークは過ぎたということなのだろうが、もうちょっと売れて欲しかった。やっぱ、応援する気持ちはあるんだよね。
posted by しんかい at 18:30| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(3) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Amor Y Suerte : Exitos Romanticos by Gloria Estefan

Amor Y Suerte

友人にグロリア・エステファンが大嫌いだという奴がいる。スペイン語圏の人に独特の、舌ったらずな英語の発音がたまらなく嫌らしい。ならばこれを聴かせてあげよう。グロリアの、スペイン語作品ベスト。
グロリア・エステファンはキューバ生まれだが幼いうちに米国マイアミに移り、アメリカ人として育った。80年代半ばにマイアミ・サウンド・マシーンとしてデビューした頃は、他にそういう音楽をやる人がいなかったせいもあって田舎くさいラテン・ポップがやたらと売れまくった。
次第にグロリアはバラードを好むようになったかと思うとディスコっぽくなってみたり、何でもアリの人になってしまった。しかしその一方で、商業的にはあまり目立たないが、彼女はコンスタントにスペイン語作品を出してきた。特に、最初のスペイン語作品は彼女のルーツであるキューバ音楽に正面から向き合った作品として、評論家筋でも非常に評判が高い。
スペイン語作品は、数を重ねるごとにだんだんリラックスした雰囲気になり、遂には2000年に「Alma Caribena」という大傑作をリリースするに至った。リラックスした開放的な雰囲気とピースフルで幸せな空気が漂うこの作品は評論家が褒めるには雰囲気が軽すぎたが、meantimeの一部リスナーは聴き逃さなかった(meantime 2000年年間投票アルバム部門8位)。

そんなわけでこのアルバムは、彼女が「まじめに」ラテン音楽に向き合った作品からチョイスされたベスト盤なので、「ラテンポップ」な曲は入っていない。全米ヒット曲や、そのスペイン語バージョンなんかは1曲も入ってないし、そういうグロリアしか知らない人にとっては、本作のグロリアは別人も同然だろう。CDショップで言うと「ロック/ポップスコーナー」置いてあるものではなく、「ワールドミュージックコーナー」に置いてあるものの音。買うときはそこを承知の上で。
個人的にはこれを聴くよりは「Alma Caribena」のほうを聴いてもらいたいが、グロリアのもうひとつの顔の入門盤としては悪くない。この中で「Como Me Dueke Perderte」が他の曲よりもいい!と思ったら「Alma Caribena」も必聴。

なおおまけDVDにはライヴ映像など5曲分を収録。どうせならスペイン語曲のビデオクリップを網羅して欲しかったなあ。日本ではそんなのよそで見る機会ないんだから。
posted by しんかい at 17:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Once More With Feeling : Singles 1996-2004 by Placebo

Once More With Feeling

プラシーボというのは微妙なポジションにいるバンドである。激しいギター・サウンドに爬虫類系のねとっとしたボーカルの存在感は昔はミューズとかぶっていたが、ミューズはかなり大物感が漂うようになってきた一方、プラシーボは相変わらず”中堅バンド”と呼ぶのが似合う。
ベスト盤が出ているのを目にした時は、まだちょっと早いんでは?と思ったが、実はそんなことは全然なかった。96年のデビューから2年ほどの間に「Nancy Boy」「Pure Morning」「You Don't Care About Us」と
3曲のトップ10ヒットを放って以来、あまり大きなヒットには恵まれていない。しかし今振り返ってみるとこの8年で13曲の全英トップ40ヒットを放ってきており、うち9曲はトップ20ヒット。思ってたよりコンスタントにヒットを積み重ねてきていた。
彼らの持ち玉は決して多くない。ギターをメインにしたテンポの速いロック。バンドの抑制された演奏はどちらかというと無機質でさえあるが、そこに中性的な、ブライアン・モロコのボーカルが絡んできた途端に、音が急にナマっぽくなる。そして、もう一度引き合いに出すが、爆発型のミューズの対局に位置するような、抑制型の楽曲群。この抑制感があるからこそ、どの曲にもプラシーボの独特の雰囲気が漂う。音の質感が一環してる。また、楽曲のレベルがデビュー当初から高かったが、それがずっと維持されている。
だから、こうして概ね時系列で並べられたベスト盤を聴いてもまったく違和感なく最後まで聴ける。それだけでなく、彼らの才能が愛おしくさえなってくる。なんでこのバンドを今までもっとひいきしてあげなかったんだろう、みたいな。彼らにしてはやや異色な「You Don't Care About Us」の、ニュー・オーダーの流れを受け継いだあまりにもUKロック的な響きも、典型的な彼らのサウンド「The Bitter End」も、他の曲に比べるとややバンドが元気な、彼らの名を知らしめたデビューヒット「Teenage Angst」も、どれも実によくできている。

今ならリミックス集つきの2枚組バージョンも出ている。きっと通常盤と数百円しか違わないので2枚組を買っておこう。EU盤はCCCDなので要注意。
posted by しんかい at 17:14| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Stardust... The Great American Songbook Vol.III by Rod Stewart

Stardust - Rod

第3集にしてようやく買ってみた。全米No.1のご祝儀ということで。
別にロッドに興味がないわけでもなく、こういう音楽が嫌いなわけでも決してないし、第1集・第2集とも大ヒットしていたから気になってはいたのだが、今まで買うことがなかったのは、あまりにも中身が予想できてしまうからだろう。聴かなくても想像がつく音は、わざわざ買う必要はない。まあそう言ってしまうと割り切りすぎだが、優先度が低くなってしまって、他に欲しいものがある限りは永遠に買えない。
で、実際に今回聴いてみて。やはり想像していた通りの音。じゃ買わなくてよかったかというと、やっぱ買ってよかった。
もともとロッドの声は好きで。白人ロック系シンガーとしては史上最高のボーカリストの一人だと思う。いや、というか、今すぐには、彼に匹敵する人は思いつかない。もちろん彼がお手本としているサム・クックを筆頭に、黒人には別格の人がたくさんいるのだが。
このアルバムの曲の大半は超有名なスタンダード・ナンバー。そもそもアルバムのコンセプトが「古き良きアメリカ」なので、ガーシュウィンとか、ハマースタインとか、コール・ポーターとか、我々の世代は普通はカバーバージョンでしか知らない曲が並ぶ。でも、半分ぐらいは曲名を見ただけでどの曲かわかるし、実際に聴いてみるとほとんどの曲はどこかで聴いた覚えがある。
演奏もアルバムのコンセプト通り昔ながらの楽器で、昔ながらの編成のジャズ・コンボ+オーケストラ。
さあこれで、どんな音なのか想像してみよう。
で、実際に聴いてみよう。まったく想像通りの音なのだ。
そういう意味で、この3部作シリーズは外れがない。こういうタイプの音楽を買おうという意志のある人は必ず、求めた通りのものが手に入る。満足度は高い。だからシリーズの続編が出れば必ず買う。あまりにもこれがいつまでも延々続くと飽きて離れていくが、3枚ぐらいならOK。しかもアメリカはハロウィンが終われば、そろそろクリスマス・ホリデー・モードに突入だ。1年を通じていちばんCDが売れる時期で、特にオトナ受けする作品がぐんと売上を伸ばすこの時期。このアルバムが売れないはずがない。

クレジットを見るとスティービー・ワンダーやエリック・クラプトンを迎えましたとか、こういう超大物どうしの共演はウザそうだと思っていたのだが、実はその使い方がものすごく贅沢で、スティービーにはハーモニカを吹かせるだけ。声はまったく登場しない。クラプトンも同様でギターのみでの参加。ロッドの絶対的な自信を見せつけられるようで、ちょっと感動的ですらある。ボーカリストは俺だ、という気概が、どんな超大物ゲストであれ、たった一言でさえも声を発することを許さなかった(これらのゲストだけでなく、いわゆる「コーラス」が全編まったく入らない)。
ただ、声を発することを許された人もいる。ベット・ミドラーとドリー・パートン。まあ、女性ならOKというのは必然性もあるし、ロッドらしくもある。とくにベットはこういう古くさいスタイルでデュエットをやらせると絶品。さすが女優。その昔トム・ウェイツと「I Never Talk To Stranfers」という曲で粋な掛け合いをやってたのもいいが、ここでの軽い掛け合いもいい。むしろドリパのほうが濃厚な絡みで、唯一この曲だけはロッドが主役を奪われている。

この3部作はリンダ・ロンシュタットがネルソン・リドル・オーケストラと組んだ3枚のアルバムと位置づけがとても似ているので比較されていくと思うが、リンダがとても純粋に、真面目に音楽に取り組む人なのに対し、ロッドは適度にショウビジネスの人なので、その違いが作品に現れている。ロッド作品には批評家からの「底が浅い」という批判があるだろう。しかし、一般人のリスナーは、間違いなく、楽しめると思う。
posted by しんかい at 16:37| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月24日

プルート・ナッシュ/The Adventures Of Pluto Nash

Pluto Nash

エディ・マーフィ低迷期に撮影され、完成後2年間お蔵入りになっていたといういわくつきの作品。いや、というか単に失敗作と言うか。
2087年の月が舞台というところでもうダメな人はダメだろうが、別に普通のアクションコメディで、SF的な要素はほとんどない。そういう意味で、エディ・マーフィの得意分野だ。
密輸で捕まって刑務所にいたプルート・ナッシュ(エディ)が出所してクラブを経営、大成功させる。ウラ世界のボスがそのクラブを買い取ろうと申し出てきたのを断ったところ、命を狙われるハメに。で、逃げながら、悪党と闘いながら、ウラ世界のボスの正体を暴き、乗り込んでいって対決する... と、非常に単純なストーリー。ボディガード役のロボットがいつもフォローしてくれたり、足を引っぱりつつも時々役に立つヒロインが出て来たり、配役も超お約束通り。
ついにご対面を果たしたウラ世界のボスが自分のクローンだった、ってのも読める展開だし、その2人が取っ組みあって喧嘩すると、悪党たちもどっちを守ったらいいかわからなくなる、という展開もミエミエ。
てなわけで映画そのものは別に面白くない。なんだか全体に緊張感がないし、エディ・マーフィ一人の魅力に全員が依存しきってしまっている感じ。その、エディのテンポのいい、滑舌のいいトークも充分に活かされているとは思えないが、やっぱりそれがあってこその映画だ。
お蔵入りになっていたのもわからんでもないが、これより酷いものがたくさんあるのも事実だろう。
posted by しんかい at 00:39| 東京 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月17日

Greatest Hits by Robbie Williams

Robbie Williams Greatest Hits

ローナンのベスト盤もヒット曲満載なんだけど、この人には敵わない。
ロビー・ウィリアムス、初のベスト盤。新曲2曲を別としても、17曲すべてが全英トップ10ヒット。しかもこれでも「Freedom」(2位)「Lazy Days」(8位)「South Of The Border」(14位)「Somethin' Stupid」(1位)といったヒットが抜けている。どうせなら初回のみ2枚組限定版でDisk2にはB面曲とかも入れてコンプリートなベストにして欲しかったが、まあとにかく英国音楽史に残るアルバムである。クイーンのベスト盤が何度も形を変えて出し直されつつも、未だに「Greatest Hits」が売れてるのと同じように、このアルバムはイギリスで何十年も定番として売れ続けるだろう。
今回は日本盤発売も速かったし(というか日本先行らしい)、解説部分の対訳もちゃんとついてるし(「Angels」など一部歌詞の対訳の出来はとても酷い)、体裁としてはとりあえず文句ない。収録時間が長過ぎるのでさすがに今回ばかりはロビーお約束のヒドゥン・トラックはなし。

私がロビー・ウィリアムスの良さに気づいたのはセカンドアルバムが出た頃。当時、新宿にはタワーレコードが2カ所にあった。片方が拡大されるのに伴って片方が閉鎖されることになり、閉店セールになった。1階は女性用の服屋で、その店内を少し通過しつつ2階に上がって行くという微妙な立地で、間違えてそのまま地下に行ってしまうと下着コーナーが待ち構えているのだった。
で、その閉店セールで、「やけに売れてるから」というだけの理由でロビーのファーストアルバムを買った。そして、ハマった。「Angels」はイギリスで一般人に投票をさせると「英国音楽史上ベストソング」とかに選ばれてしまうぐらいの名曲だが、それよりも更に「Old Before I Die」が気に入った。カッコつけることが商売のロックスターたちは、長生きするよりも太く短く生きたいと言う。パンクな人たちなんかは30過ぎたらもう人生おしまいみたいなことを言う。ところがロビーはあっけらかんと、実に朗らかに、こう歌った。「長生きしてから死にたいな/過ぎ去った日々を懐かしんで過ごすんだ/でも今夜は、今だけを考えて生きたい/さあ、こっちへおいで」。
かっこつけないことのかっこ良さ。正直すぎてプレスや周囲のミュージシャンから反感を買うところも、中肉中背で決してかっこいい体型ではないのにやたらと脱ぎたがるところも、彼の人柄の現れ。
そのいいヤツっぽさが、音にもズルいぐらい現れていたのが「Old Before I Die」だった。そして、セカンドアルバムからもキラーチューンが現れた。「Strong」。本人たちはお互いにけなし合う仲だが、私はこれはオアシスの「Whatever」と並ぶ爽やか系の名曲だと強く主張したい。
長年ロビーの、半ば専属ソングライターとして数々の名曲を残したガイ・チェンバーズ。モリッシーとジョニー・マーが、コンビを組んでいた時に生んだ数々の名曲に匹敵する作品をスミス解散後は一曲たりとも生み出せていない。同じようなことは世の多くのソングライティング・チームに言える。ロビー&ガイは、そんなコンビだった。
「Let Me Entertain You」も「No Regrets」も「Kids」も「The Road To Mandalay」も「Come Undone」もみんな名曲。
問題は、ガイとのコンビを解消してしまった今後だ。
収録された2曲の新曲は、新しいパートナーとして迎えたスティーブン・ダフィとの共作によるもの。「Radio」はニューウェーブっぽいアップテンポで、「Misunderstood」はカントリーっぽさもあるきれいなバラード。どちらも及第点の出来だと思うが、気になるのは、歌い方というか発声法が今までと全然違うことだ。スタッフが変わったせいなのか、意識してやってるのかは知らないが、なんだかとても違和感がある。
と、ラストでちょっと不安にさせられてしまうのだが、名曲の詰まった素晴らしいベスト盤であることに変わりはない。イギリス人は一家に一枚。日本でも1000人に一人ぐらいは持っていてもいいと思う。
posted by しんかい at 19:44| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(3) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

10 Years Of Hits by Ronan Keating

Ronan Hits

近頃、UK盤CDを買うのにやけに苦労する。頼みの綱のamazon.co.jpでさえ2800円とか、下手すると3000円を越える値段をつけてたりする。amazon.co.ukとかイギリスの業者から買えば元値は多少安いけど、やっぱり送料がかかるし。
と、このアルバムをどう入手したものやら迷っていたんだけど、HMVで2枚1690円の対象になってたので難なく入手。話は逸れてしまうんだけど、そういうわけでエマ・バントンのアルバムを未だに入手できないでいる。たまに店頭で見かけても3000円以上とかいう冗談のような値付けで、あほらしくて買う気になれない。あれだけヒットを連発してるし、渋谷系っぽさがいかにも日本人好みなのに、なんで日本盤ださないんだろう。
さて本題。
まずタイトルを見て、ほほう、もうこいつ10年もやってたのか。と思うが、よくよく考えるとそんなにキャリアが長いはずはなく、彼のソロデビューは1999年。ボーイゾーンとしてデビューしたのが94年なので、そこから数えて10年ということになる。じゃあボーイゾーン時代のヒットも含めたベスト盤なのかというと、それも微妙。「Words」「Father And Son」「Baby Can I Hold You」という、ボーイゾーン時代のヒットをこのベスト盤用に歌い直した3曲が収められてるだけ。しかもこれ、3曲ともカバーなんだよね。それでいてこの3曲は「just three songs from the years with Boyzone... songs that meant the most to me」らしい。よほどボーイゾーン時代は封印したいらしい。まあ、それはいい。ボーイゾーンはちゃんとベストが出てるし、これを買う人はやっぱりローナンのソロヒットを求めているのだ。変な紛らわしいタイトルつけなきゃいいのに。

日本では、元ボーイゾーンのローナン・キーティングなんて、まーったく人気が伝わってこない。むしろどちらかというと「過去の人」感さえあるだろう。ところが彼は99年のデビュー以来12曲のシングルをすべて全英チャートのトップ10に送り込んできている。うち10曲はトップ5ヒット、うち7曲はトップ3ヒットだ。21世紀の全英チャートでもっとも多くの大ヒットを生み出している、紛れもないトップ・アーティストの一人なのだ。

ここ2年ぐらいに限って言えばやけにカントリーにアプローチしているのが目立つが、もともと彼は「選曲センス」の人だと思う。ボーイゾーン時代からトレイシー・チャップマンやらキャット・スティーブンスやらの絶妙なカバーを聴かせていたが、まずソロ初期はグレッグ・アレキサンダー(元ニュー・ラディカルズ)の存在が大きい。グレッグのほうからローナンにアプローチしたらしいが、ともすればしみったれたバラード・シンガーに落ち着いてしまいそうなローナンに「Life Is A Rollercoaster」「Lovin' Each Day」という幸せ感いっぱいのアップテンポの2曲の大ヒットを出させた意義はとても大きい。
その後彼はガース・ブルックスをカバーして意表をつくと、そのままどんどんカントリーの世界へと進んで行く。ブルックス&ダンのヒット「The Long Goodbye」をカバーした時は、おいおいそこまで手を出すかと思ったが、実はこれはもともとローナン自身が書いた曲だったと知ってまた驚かされる。カバーばかりヒットさせてるが、そこそこ曲も書ける奴なんだと、改めて思い出す。リアン・ライムスとのデュエット「Last Thing On My Mind」なんて、実に上品で美しい曲だ。元ボーイゾーンのアイドルだとローナンを馬鹿にして相手にしてこなかった人も、これが彼の自作曲だと聞けばちょっと見直さざるを得ないだろう。
このベスト盤から新曲としてシングルカットされたのはリー・アン・ウーマックの00年の全米ヒット「I Hope You Dance」。これはさすがにオリジナルの出来が良すぎてローナンのバージョンのほうが勝ってる点がひとつもないのは寂しいが、少なくともこの名曲をイギリスの一般人に知らしめた功績は大きい。

バラード系が多く、もはやアイドルポップスという感じではないので、なかなか本格派シンガーとしては認めてもらいにくい立場の彼はイギリス以外では売りにくいのだろう。ルックスはいいけど、すごく歌唱力があるわけでもないし、やっぱり彼のウリは「いい曲を歌ってる」ということ、すなわち「選曲センス」なのだと思う。
posted by しんかい at 18:52| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(1) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月11日

Lest We Forget by Marilyn Manson

Lest We Forget

「もう落ち目」だと言われつつ、何気に生き残ってきているマリマン。このベスト盤も全米チャートトップ10内に初登場と、健闘した。いや、むしろベストだからこそ売れたと見ることもできる。
世の中には「ベスト盤向き」のアーティストがいる。3年間で12曲ぐらいトップ10ヒットを生んでたりするUKアイドルなんてのはその典型だ。で、案外、このマリマンや、奇しくも同時期にベスト盤を出したKoRnなんてのもベスト盤向けのアーティストではないかと思う。
私はKoRnもマリマンも好きで、ほとんどのアルバムも持ってるのでベスト盤を買うのはかなり重複感が強いのだが、やっぱり決め手になったのは「こういうのが手元にあると便利だよな」という感覚。何枚ものアルバムから自分でCD-Rを編集すればだいたい同じものを作れるのだが(新曲もあるのでまったく同じにはならないが)、「おまけDVD」の存在にも惹かれてやっぱり買ってしまう。
それにしても、日本盤はもともと高いが、どうしてこうDVDが付いた瞬間に法外に高くなってしまうのだろう。このマリマン・ベストはDVD付のアメリカ盤の推奨価格が22ドルぐらい、普通の店はそこから数ドル割り引いて売るので、実売価格で2000円そこそこだ。日本盤は、日本独自にリミックス集CDを加えた3枚組仕様にしているとは言え、3990円と、ほぼ倍額。今回に限らず、DVDが付くとどうも不自然に値段が高くなるのにはいつも納得いかない。アメリカではDVDは「ボーナス」つまりタダなのに、日本人はしっかりDVDの代金も取られてるような気がして。

さてマリマン。やっぱりこうしてベスト選曲で聴くとどれもキャッチーだ。それなりに出来のいい曲もある一方、かったるい曲、つまんない曲も多くてなかなかオリジナルアルバムを聴き返す気にならないのだが、これなら聴く気になる。やっぱり「The Beautiful People」の独創性・完成度は飛び抜けているが、「Rock Is Dead」以降も産業ロックとして悪くない。新曲として収録されたデペッシュ・モードの「Personal Jesus」のカバーもハマっててなかなかいい感じ。日本独自企画のDisk2は、CDシングルなどに収録されてきたリミックスバージョン集。ジョン・レノン「Working Class Hero」のアコギ一本でのまっとうなカバーなんかは非常に新鮮な感じがするが、それ以外には特にこれを目当てに買うほどの魅力はない。全8曲というボリュームもなんか半端だし。

やはり何よりも、全ビデオクリップを網羅したDVDが嬉しい。必ずしもシュミのいい映像ではないが、やっぱりこの人たちは「絵」ありきの人たちなので。あんまり繰り返し見ることはないと思うが、なんとなくコレクションとして「全曲集」ってのは嬉しい。
あと、これだけ値段高くするんなら、日本盤解説はちゃんとマリマン・ヒストリーみたいな感じのしっかりしたものにして欲しかったなあ。
posted by しんかい at 17:53| 東京 🌁| Comment(1) | TrackBack(0) | 新譜レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

英雄 -HERO-

HERO

これは公開当時に試写会場で見た。
最近全米1位になったというのでまたもう一度見たいと思ってたのだが、偶然チャンネルを回していたら、なんと地上派TVでもう放映とは。頑張ってるなあテレビ局。
さすがにこれだけ「緊張感」と「間」が重要な作品を、途中でぶつぶつCMに切られながら見るのは忍びない。前に一度見ていたからまだ良かったものの、今回のTV放送で初めて見る人は、やっぱり違う印象を受けてしまうのだろう。
この映画はとにかく「色彩美」に尽きる。シーンごとに基調色があり、役者の衣装や小道具だけでなく、自然の風景までがその色で統一されてしまう。湖で闘うシーンの青や、落ち葉の中で闘うシーンの黄色〜赤は、とくに鮮烈。とにかく細部にまで細かく気を使って、全編を美しい映像に仕立て上げた努力は見事だ。何千人という軍隊が登場する場面も、まったく雑然としたところがなく、むしろ不自然なぐらいに整然としているところが、実際には現実離れしているんだけど、歴史絵巻的なスペクタクルを感じさせる。
基本的には秦の王と暗殺者とがお互いに「回想」や「想像」しながらお話が進んでいくので、同じシーンが何パターンも描かれ直したりして、ストーリー展開はなかなか予想できない。

「意識の中での闘い」とか言って湖の上をすいすい飛び回りながら闘ったり、「書」の極意は「剣」の極意に通じるとかいうところまではいいが、敵軍の矢の雨が降り注いでいるのに弟子たちに書の稽古を続けさせるシーンも何だかなあ、という感じで、全体に様式美にこだわり過ぎたが故に、ケチをつけられやすいポイントが多いのも事実。特にいちばんケチをつけやすいのがワーヤーアクションの多用だ。アクションを華麗に見せるための補助として使われる分には別にいいと思うのだが、すっと飛び立つと、そのまま一直線にひゅーっと相手めがけて何メートルも飛んで行く、あの不自然極まりない動きだけはやっぱりどうしても違和感がある。が、すべての闘いのシーンで繰り返されるんだよなあ、あのひゅー、が(笑)。「間」を多用したテンポも、果たしてアメリカ人に理解できてるんだろうか。東洋的な美しさに惹かれる一方で、かったるい映画だなあ、と思って見てるんではないだろうか。
もうひとつ挙げるとすれば、いちおう主人公らしきジェット・リーが、いまいち何考えてるかわかんなくて感情移入しにくいところだろう。4人の剣士、秦国王、それぞれを公平に描いて、誰も明確に悪者にすることなく描いているのはわかるが、とにかくどの人物も表情に乏しく、とくに「喜」と「楽」は皆無だ。そんな中、秦王だけが暗殺者を目の前にしながら「楽」っぽい達観したところを見せてくれた。この「楽」の重みを描くために、残りのすべてのシーンで誰にも明るい表情をさせなかったのだろうか。

もともと圧倒的な映像美に魅せられて、「ミツバチのささやき」をオールタイム・ベスト映画に選んでいる人間なので、私は全体的にはかなり気に入っている。
2002年香港・中国
posted by しんかい at 17:17| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(4) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月03日

Daredevil / デアデビル

Daredevil

うわーーーーー。これは酷い。
どうも近頃のアメコミ・ヒーロー物は、“苦悩”を描く暗いものが多すぎてウザい。それでもスパイダーマンなんかは圧倒的な映像でまだ楽しめた。スパイダーマンのアクション的要素を低予算化してショボくして、暗くしたようなのがこれか。
日本では馴染みのないデアデビルなるキャラは、少年時代に事故で有毒の廃棄物を浴びてしまったせいで視覚を失い、その代わり他の四感が人並みはずれて研ぎすまされた、らしい。特に音に敏感になり、大きな音が弱点だったりするが、なぜかついでに身体能力も高まってビルの間を飛び回ったりできるようにもなった。
主人公が盲目であるが故の、特殊な映像イメージなど、部分的には凝っているが、もーとにかくすべてがダメな映画だ。テンポが悪いし登場人物に魅力がないし悪役は憎たらしくないしアクションはトロい。昼間に公園でヒーロー役とヒロイン役が闘うシーンなんて何かのパロディかと思うような緊張感の無さ。
やっつけるチャンスはあったのに悪役を生かしておいた上に、わざわざエンドロールの途中でそいつが健在な様子を見せたりなんかして続編を作りたいのがミエミエ。一方で主人公の父親もヒロインも死んじゃって、なんかえらく理不尽だぞ。
ああもうダメだ文句が止まらない。観てるときから退屈だったけど見終わっても本当に時間を無駄にしたと後悔。あああもう悪いことは言わないからこれは観ないほうがいいよ。
2003年米・104分
posted by しんかい at 22:08| 東京 🌁| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

8 Miles / 8マイル

8 mile

じゃちょっと音楽ネタともからむやつを。
言わずと知れたエミネム主演作。単にミュージシャンが余興で作ってしまった映画ではなく、ちゃんとまともな作品で、エミネムの演技もなかなか... という評判を聞いていた。
ほんとだろうか。とりあえずエミネムが昇り調子なので(あの頃の日本では)、褒めておいただけじゃないだろうか。これ見て本当にエミネムの演技を褒めたくなるか?
もちろんラップの技術は、素晴らしい。ステージの上でパフォームする彼の生き生きした姿は、やっぱり凄い。でもあれは演技じゃない。彼の本職、ラッパーとしていつもやっていること。いわば“素”だ。ずーっと無表情なのが、ラスト付近でようやくほんのり笑顔を見せたりするようになるのは、もちろんわざとやってるんだろうけど、これじゃ前半は何て魅力のない奴なんだろうと思わされる。
一箇所、思わず、そうそう!と思ってしまったのは、ズボンの中に銃を隠し持ってる奴らが、銃をまたズボンの中にしまうときに、つい引っ掛けて撃っちゃったりすることないのかな、といつもそういうシーンを見るたびに思っていた。そしたらこの映画で本当にそういうシーンがあって、ほらやっぱり!いるよな!と一人納得。カッコつけてばかりの、ヤクザの世界にも通じるある種の美学を求めてしまうギャングスタ映画では決して描けないシーンとして評価したい。いや、だって、現実にそういうことが置き得るんなら、こういうシーンも描くほうが“リアル”だって。

フリースタイルのバトルのステージはやっぱり面白い。字幕も相当頑張っている。自分にとってはここだけが見所だった気はする。そういう意味ではバトルのシーンの番外編を収めたオマケつきのDVDは買って正解だった。今日WOWOWでやってたから思い出しつつ横目で見てたんだけど、単に映画本編を見ただけだったらあんまり楽しめなかったかも。エンドロールで流れる「Lose Yourself」のサビ部分で「ビートを刻んで ゴー・ゴー」と字幕が入るのは当時随分話題になり、失笑されていたが、他にはとりたてて変な訳はなかった気がする。

この曲は何度かカラオケでやっているが、いちど会社の飲み会でやってみたら大ウケしてしまい、以後そのメンバーで行くと勝手に入れられてしまう。この曲は約5分間まったく途中で休む暇がないので、ものすごく疲れるのだということを理解していただきたい。
いつもweb辞書でお世話になっているサイトに関連記事があったのでついでに紹介しておく。
http://www.alc.co.jp/eng/eiga/jimaku/jimaku27b.html
2002年米・111分
posted by しんかい at 01:41| 東京 ☁| Comment(3) | TrackBack(1) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Star Trek: Nemesis / ネメシス/S.T.X.


Nemesis


「トレッキー」なる人々がいるという噂は聞いているものの身近にいるわけでもないし、どうもスタートレックというのは食わず嫌いというか、どちらかというと今まで避けてきた。
私はSF好きではあるが、少なくともテレビシリーズを、ケーブルテレビのチャンネルを回してる最中に偶然見かけたとしても、それは私が求める特撮アクション系のSFではなく、あくまでも人間ドラマで、単に舞台が宇宙というだけ、だと思っていた。
今回たまたま映画版10作目というこの「ネメシス」をWOWOWでやっていたのと、その解説で「本作の監督はこれまでスタートレックの映画版を一度も見たことがないのでいい意味でブチ壊してくれた」といった感じの文章を見たから。
スタートレックにはやっぱり独特の世界観がある。今までスタートレックシリーズを全然見た事がなければ、やっぱり納得できないことだらけだろう。ワープとかも最初はきちんと座標を指定してやってたのが、そのうち相手を勝手に強引にこっち側にワープさせてきたりとかしている。宇宙で闘って宇宙船に大穴が空いてるのに、その中の人間は平気で生きている。トレッキーに説明させればどれも何か事情や仕掛けがあるのだろうが、一般人には通用しない。この“独特の世界観”が、やっぱりこのシリーズのとっつきにくさであり、逆にマニアを惹き付けるのだろう。
基本的に予想通りの展開でお話は進むのだが、ラスト付近で、自らの宇宙船で敵の宇宙船に思いっきり体当たりするというシーンだけは、びっくりした。通常、宇宙船というのは穴が空いたらおしまいだから、体当たりなんていう発想が生まれるはずがない。しかし、どういうわけかスタートレックの世界ではそれが許されているようなので、巨大宇宙船どうしの体当たりという荒技も可能になった。これはなかなか他のSF映画でお目にかかれるシーンではない。
02年米・117分
posted by しんかい at 01:18| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月02日

Alien Hunter / アライバル ーファイナル・コンタクト

Alien Hunter

うーん。またB級SF映画を見てしまった。そりゃまあ元々SF好きだけどねえ。
タイトルはそそる。原題「Alien Hunter」。いかにも宇宙戦争って感じじゃん。こういう荒唐無稽な何も考えずにひたすら巨大宇宙船が出てきたり撃ちまくったりするのは嫌いじゃない。
ところがこの映画はと言うと。
南極の氷の中から謎の信号を発信する物体が発見された。かつて宇宙からの信号を研究していたという、主人公の数学者が南極基地に呼ばれる。お約束通り悪天候で南極基地は外部と遮断され、無線さえも通じなくなる。
「物体」は結局宇宙人が中に眠っていて、彼を起こしてしまうことになる。が、彼のもっていた菌が地球の生物にとっては有毒でみんな死んで行く。どうやら抗体をもっているらしい数人は生き延びるが、外部でこの自体を掌握していた軍によって、“滅菌”のために南極基地に核爆弾が撃ち込まれる。それをぎりぎりのところで脱した基地の隊員たち... という話。

ぜんぜん「Alien Hunter」ではない。むしろ「南極物語」とでも呼んだほうが正しい。

暗号を解読すると「Do Not Open」というメッセージが現れる。ご都合主義のアメリカ人からしか出てこない発想である。宇宙人が、英語のメッセージを暗号化して発信しているのだ。
面白いのは、実際に動き回る”生きた”宇宙人も出てくるのだが、そのシーンは非常に短く、宇宙人も銃で一発撃たれてあっさり死んでしまう。むしろ、その後の人間たちの争いのほうが、メインに描かれている。SFとしてはややフォーカスが外れていて、観客の興味を削いでしまう可能性はあるが、試みとしては評価できる。しかしそうして人間たちが争った末、ラストシーン近くで結局オチとして出てくるのは超巨大UFO。
嵐の切れ目でたまたまつながった無線で、核爆弾が向かっていると知らされた生き残りの隊員たち。彼らはどうやら自分たちがUFOに“呼ばれている”と判断し、UFOから放たれる光の中に一人ずつ消えて行く。

人間どうしの争いに焦点を当てたいのか、SFなのか、ポイントがはっきりしないし、ストーリー的にもまったくどうでもいい。というか、ほとんど話の筋らしき筋がない。それでも、短いせいもあって、割と楽しんで最後まで見られた。「いつも文句ばかりで、いざというとき真っ先に逃げるフランス男」とか「いつも冷静で正論を言う老博士」とか「正義感が強くて活躍するんだけどあっさり殺されちゃう黒人の技術者役の兄ちゃん」とか「主人公の博士を誘惑する女子大生」とか、役所がコテコテに典型的なので話に入り込みやすい。人物設定が極端ゆえにキャラがわかりやすく、観客を入り込みやすくした点では成功作だ。

これのDVDパッケージ。役者の名前の上に、その代表作が書いてある。「スターゲイト」「スーパーノヴァ」ジェームズ・スペイダー。「金メダリスト」カール・ルイス。
え、カール・ルイス?あはははははははははははは。「金メダリスト」って。本物かい。そう、あのカール・ルイスさんが出演してます。上に書いた、正義感が強いんだけど殺されちゃう技術職のお兄ちゃん役。
2003年米・93分
posted by しんかい at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月01日

Farewell

入社以来11年半勤めた会社が、今日で無くなった。
別に不幸な目に遭ったわけではない。グループ企業と合併して、10月1日から新社名となる。実質的に私の会社が存続会社ということもあり、あまりドラマチックな変化はないはずなのだけど、やっぱり明日からは電話に出るのにも今までとは違う名前を名乗らなければいけないわけで。バブル後の10年あまりを、こういう変化を経験せずに今まで過ごしてこられたほうがむしろ幸せだったのかもしれないが、やっぱり慣れ親しんだ名前がなくなるというのは寂しい。
統合して新会社になることは何年も前からわかっていたことなので覚悟は充分に出来ている。職場でも、別にとりたてて慌ただしい感じはしない。どちらかというと、合併に伴って起きる引っ越しでバタバタしているだけで。
色々しみじみと考えてみて、なんか1年ぐらいゆっくり休みをとってみたくなってきたな。3年働いたら1年休む、ぐらいのペースで苦労せずに生きて行けるといいのになあ。
posted by しんかい at 02:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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